13:温かい手
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換金所に立ち寄ったあと、金を手にして先を進み、このまま平地で野宿かと思ったが、先に進むと小さな町を見つけた。
角都が言うには、最近出来た町だそうだ。
ヨル達はその町に入り、夕食を食べてから適当な宿を見つけて入った。
2階建てで、値段も安い。
ただし、部屋が狭いので、角都はシングル3つをとった。
「えーっ、男子部屋女子部屋って分かれねえかァ?」
宿帳に名前を書きながら角都は言い返す。
「広さが広さだ。男2人くっついて寝ろと言いたいのか」
「オレは別にいいぜェ」
飛段がそう言って、宿の女性は「あら」と頬を染めた。
「…黙れ飛段」
*****
2階の部屋の一番左が角都の部屋、その隣が飛段と月代の部屋、その隣がヨルの部屋だ。
部屋は6畳の畳の部屋で、確かに大人2人が一緒に寝るにはくっついて眠るしかない。
飛段や角都の様子を見に行ってもよかったが、ヨルは火遁の術に専念した。
あまり派手にやると宿が燃えてしまうため、手加減をする。
前から練習していくうちに、ロウソクに火をつけることができるようになった。
そしてこの間はそれで起爆札に火をつけることに成功した。
短い練習を終えたあと、窓を見ると、無数の星が輝く空が見え、町にはポツポツと明かりが灯されていた。
その光景を眺めながら押入れから布団を取り出して敷き、その上に寝転がった。
「そういや、一人で寝るのは久しぶりだ…」
久方ぶりの薄暗い闇は、あまり落ち着かない。
それでも、ヨルは目を閉じ、それぞれの部屋で眠っている角都と飛段のことを考えながら眠りに就いた。
*****
ヨルは、夢を見ている。
夢の場所は飛段と月代の部屋だ。
2人は仲良く同じ布団で眠っている。
寝惚けて飛段の部屋に入ってしまったのだろうか。
そう思わせるほどだ。
試しに飛段の頭に触ろうとしたが、ヨルの手は飛段の頭をすり抜けてしまった。
「ああ、やっぱり夢なのか」と茫然と思った。
周りを見回せば、見える色は全て白黒である。
「!」
誰かが部屋に入ってきた。
角都だろうかと思ったが、違う。
角都にしては小柄で、髪も短い。
それに白黒なので色もわからない。
気配に気づいたのは月代だった。
目を覚まして眠い目を擦りながら上半身を起こし、その人物を見上げた。
「…おなじ?」
「そう、同じ」
「ママに、いたいするの?」
「しない。けど、これからママに痛いことする奴を知ってる。痛いを通り越し、ママを奪ってしまう」
相手の口元は不気味な笑みを浮かべている。
「うばう?」
単語の意味がよくわからず、月代は首を傾げた。
「ママを殺してしまう」
「!! ヤダ…!! ママしぬのヤダ…!!」
「だから、殺せ」
相手は名前を告げた。
それを聞いた月代は腕を発動させ、部屋を飛び出す。
「!! やめろ月代!!」
ヨルは急いであとを追いかけるために部屋を飛び出そうとしたが、何者かに右の手首をつかまれる。
「!!」
振り返ると、月代を唆した者ではない、忘れもしない顔がそこにあった。
「ア…、アサ…!?」
思わずその手を振りほどき、壁に背中をぶつけた。
「な…、なんで…、なんでおまえがここに!!?」
「ヨル、これは夢じゃ。恐れることはない」
「…っ」
喉を鳴らし、目の前で笑みを浮かべるアサを凝視する。
「相変わらず、おヌシはワシを恐れるのか…」
アサは困ったように笑い、言葉を続けた。
「早く醒めた方がいいぞ。目を覚ませば血の夢じゃ」
「…!?」
「…ヨル、ワシはもうあのことはもう気にしとらん。勝手な愛情を押しつけたのはワシで、勝手に里を出て行ったのもワシじゃ。それでも、おヌシはワシの元へ帰ってきてはくれぬのか?」
瞬時に、角都と飛段がヨルの脳裏をよぎる。
「……オ…、オレは…もう…、居場所…見つけた……」
それを聞いたアサは怒鳴ることも悲しむこともせず、ただの笑みを浮かべただけだった。
無表情に張り付いたような笑みを。
「ならば、居場所を壊されぬよう気をつけることじゃな」
目の前を赤い蝶が通り過ぎたとき、ヨルは目を覚ました。
ドン!!
同時に、大きな音が宿中に響き渡る。
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