08:神と語る少年
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ザブーン!
「!!」
ヨルはいきなり熱湯に放り込まれ、その上溺れ死にそうになってしまい、急いで熱湯の水面から顔を出した。
「あっちぃ!!」
「お、生き返った」
目の前には飛段の顔があった。
その背後には角都がこちらを見下ろしている。
「なんだなんだ!?」
湯船から這い出て流し場でゴロゴロと転がった。
周りを見回すと、浴室であることがわかる。
「さっきまでヨル、死んでたんだぜェ?」
「死んでいたというより、仮死状態になっていた」
体を冷ますヨルに2人が教えてくれた。
「けど、なんで仮死状態に?」
飛段の質問に角都が答える。
「コウモリだからな。冬眠したんだろう」
「「冬眠!?」」
ヨルと飛段は驚いて声を上げた。
ヨルが住んでいた里は冬はなく、冬眠なんてしたことがないのだ。
軽くショックを受けるヨルは、そもそもコウモリが冬眠すること自体知らなかった。
「布団で温めても目が覚めなかったからな。50℃の湯で叩き起こした」
「ゆでる気か!!」
相当熱かった。角都の起こし方は容赦がない。
「……ここまで運んでくれたのか?」
そこで、雪山で眠ってしまったことを思い出した。
「おゥ。感謝しろ」
「運賃をよこせ」
「運んだのはオレだァ!!」
「冗談に決まっているだろう」
「おまえが言うと冗談になんねーよォ、角都」
「文無しから金など出るわけがない」
言い合ってる2人を見てヨルは笑った。
「笑いごとじゃねえぞォ、ヨル。ちっとは反省しろ」
「時間をロスしてしまった。早朝、山を降りるぞ」
「はいはい」
ヨルが言わない限り、2人は思い出さないだろう。
ヨルだけが覚えている。今はそれでいい、と思った。
余談だが、部屋に戻るとき、ヨルははっと気付いたことがあった。
(飛段の奴、逆に幼児退行してないか!?)
「カワイイ」と思った頃を思い出し、思わず今と比べてみる。
「ゲハハッ☆」
前はこんな笑い方していなかった。
「どうしてこんなコに…」
「なんか言ったかァ?」
「いや…」
過去を思い出せたのはいいことだが、取り返しのつかないことをしてしまったのでは、と別の罪悪感が湧くヨルだった。
.To be continued