38:鬼さんどちら
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
*飛段
ヨルがいなくなってからも、暁ではムチャクチャなことばかり起こった。
デイダラ、トビ、イタチが死んだ。
クソリーダーから聞かされたけど、実感がなかった。
残ったのは、オレ、角都、クソリーダー、小南、鬼鮫、ゼツ。
なのに、まだ尾獣を集めろだと。
また誰かが死ぬかもしれないのに。
尾獣もあと2匹だけど、ほとぼりが冷めるのを待った方がいいと思ってるのはオレだけか。
オレ達のノルマはあと1匹だけだが、もう迂闊には行動できない。
つまり懲りたんだ。
角都は九尾のガキに負けてる。
ヨルがいなかったら、間違いなく木ノ葉の連中に始末されていただろう。
オレだって埋められたままだった。
木ノ葉にはオレ達の手の内はバレてるし、また九尾に突っ込むのはまずい。
狙うとしたら、八尾か。
角都はなにも言わないけど、そういう流れになるかもしれない。
バチッと焚き火が火花を散らす音が聞こえた。
今日も、目が冴えてて眠れない。
野宿だし。
寝息が聞こえないが、焚き火の向こうにいる角都はもう寝たのか。
オレは背を向けたままだから、角都の様子が窺えない。
「…!」
土の、じゃり、という音を聞きとった。
角都が立ちあがったようだ。
思わず振り返りそうになったが、タヌキ寝入りを決め、角都がなにをしようとしているのか、耳を澄ます。
角都はそこから離れ、茂みの中へと入って行った。
足音が遠くなっていくのを聞きとったオレはゆっくりと振り返り、気付かれないように距離をとって尾行する。
小便ならそこらへんの茂みで済ませばいいのに、角都はどんどん離れて行く。
オレは木々の枝を飛び移りながら、茂みを掻き分けながら移動している角都を追い続ける。
茂みの先は崖縁だった。
そこにある大きな岩に飛び乗った角都は崖下を見てから、こちらに振り返る。
「出てきたらどうだ」
木の後ろから窺っていたオレは思わず身を引っ込める。
ヤバい、バレたかも。
だが、声をかけたのはオレじゃなかった。
別の茂みから人影が出てきた。
そいつの顔につけている仮面には見覚えがある。
トビだ。
思わず声に出してしまうところだった。
なぜ死んだはずのトビがここにいるのか。
「いやぁ、オレがつけてるのバレちゃいましたぁ? さすがっスね、角都先輩」
大袈裟に両腕を広げ、調子のいいことを言う。
それに苛立ったのか角都の眉間の皺が深くなった。
「……オレに用があってここに来たのだろう。その苛立つ喋り方をいい加減やめろ。思わず殺してしまいそうだ」
「……その苛立ちは今に始まったことではないだろう、角都」
瞬間、トビの雰囲気がガラリと変わった。
いつもの調子づいた喋り方じゃない。
「うちはサスケをこちらに引き込んだ」
「大蛇丸を倒したという、イタチの弟か。では、もう真相は知られているのか。貴様の正体も…」
「全てではない」
「……それで、その弟がどうした」
「八尾捕獲の任務にあたらせた。九尾はペインが捕える。おまえ達は一度こっぴどくやられているからな」
角都は瞬時に右手のコブシを硬化させ、とんでもない速さでトビに殴りかかった。
しかし、トビはそれを右手だけで受け止めてしまう。
あのデイダラの横でわたわたしてたトビと同一人物だとは思えない。
「!」
「そう怒るな」
角都は1、2歩トビから下がる。
「おまえ達には他の任務をやる」
「任務だと?」
「ああ。ヨルの捕獲だ」
「!?」
オレも目を大きく見開いた。
ヨルを捕獲?
「アサから逃げたそうだ。アサも血眼になって捜している。おまえ達の任務はアサの応援。もしヨルを発見したらすぐにアサに知らせろ。抵抗すれば死んでもらうまでだ。だが、オレとしてはできるだけ穏便に済ませたいと思っている。あの女の“血”は貴重だ。利用価値がある」
オレは枝を握りしめ、その場から飛び出すのを堪えた。
ヨルがアサから逃げ出した。
つまり、オレ達のところに戻ってくることになるのか。
それとも、他の居場所を見つけに行ったのか。
どちらにしろ、ヨルを捕獲しろだと?
オレと角都の手で、アサに引き渡せってことか。
あのヤロウ、オレ達3人のことわかってて言ってんのか。
角都だってそんな任務受けるわけがない。
そうだろ、角都。
「わかった」
「!?」
なのに、角都はオレの期待をたった一言で裏切った。
その顔は平然としている。
「おまえ達のところにヨルが現れるかもしれない。とにかく最低半月は様子見だ。それでも現れなかった場合は、アサと合流してヨルの捜索にあたれ」
角都の返事を待つことなく、トビは仮面の右目の穴に吸い込まれるように消えていった。
「…そういうことだ、飛段」
トビが消えたあと、角都に呼ばれても、もう驚かなかった。
驚きより悲しい気持ちの方が大きいのかもしれない。
オレはただ黙ったまま角都の前に姿を見せ、順序良く事情を話してもらった。
角都、オレはおまえがわからなくなってきた。
.
ヨルがいなくなってからも、暁ではムチャクチャなことばかり起こった。
デイダラ、トビ、イタチが死んだ。
クソリーダーから聞かされたけど、実感がなかった。
残ったのは、オレ、角都、クソリーダー、小南、鬼鮫、ゼツ。
なのに、まだ尾獣を集めろだと。
また誰かが死ぬかもしれないのに。
尾獣もあと2匹だけど、ほとぼりが冷めるのを待った方がいいと思ってるのはオレだけか。
オレ達のノルマはあと1匹だけだが、もう迂闊には行動できない。
つまり懲りたんだ。
角都は九尾のガキに負けてる。
ヨルがいなかったら、間違いなく木ノ葉の連中に始末されていただろう。
オレだって埋められたままだった。
木ノ葉にはオレ達の手の内はバレてるし、また九尾に突っ込むのはまずい。
狙うとしたら、八尾か。
角都はなにも言わないけど、そういう流れになるかもしれない。
バチッと焚き火が火花を散らす音が聞こえた。
今日も、目が冴えてて眠れない。
野宿だし。
寝息が聞こえないが、焚き火の向こうにいる角都はもう寝たのか。
オレは背を向けたままだから、角都の様子が窺えない。
「…!」
土の、じゃり、という音を聞きとった。
角都が立ちあがったようだ。
思わず振り返りそうになったが、タヌキ寝入りを決め、角都がなにをしようとしているのか、耳を澄ます。
角都はそこから離れ、茂みの中へと入って行った。
足音が遠くなっていくのを聞きとったオレはゆっくりと振り返り、気付かれないように距離をとって尾行する。
小便ならそこらへんの茂みで済ませばいいのに、角都はどんどん離れて行く。
オレは木々の枝を飛び移りながら、茂みを掻き分けながら移動している角都を追い続ける。
茂みの先は崖縁だった。
そこにある大きな岩に飛び乗った角都は崖下を見てから、こちらに振り返る。
「出てきたらどうだ」
木の後ろから窺っていたオレは思わず身を引っ込める。
ヤバい、バレたかも。
だが、声をかけたのはオレじゃなかった。
別の茂みから人影が出てきた。
そいつの顔につけている仮面には見覚えがある。
トビだ。
思わず声に出してしまうところだった。
なぜ死んだはずのトビがここにいるのか。
「いやぁ、オレがつけてるのバレちゃいましたぁ? さすがっスね、角都先輩」
大袈裟に両腕を広げ、調子のいいことを言う。
それに苛立ったのか角都の眉間の皺が深くなった。
「……オレに用があってここに来たのだろう。その苛立つ喋り方をいい加減やめろ。思わず殺してしまいそうだ」
「……その苛立ちは今に始まったことではないだろう、角都」
瞬間、トビの雰囲気がガラリと変わった。
いつもの調子づいた喋り方じゃない。
「うちはサスケをこちらに引き込んだ」
「大蛇丸を倒したという、イタチの弟か。では、もう真相は知られているのか。貴様の正体も…」
「全てではない」
「……それで、その弟がどうした」
「八尾捕獲の任務にあたらせた。九尾はペインが捕える。おまえ達は一度こっぴどくやられているからな」
角都は瞬時に右手のコブシを硬化させ、とんでもない速さでトビに殴りかかった。
しかし、トビはそれを右手だけで受け止めてしまう。
あのデイダラの横でわたわたしてたトビと同一人物だとは思えない。
「!」
「そう怒るな」
角都は1、2歩トビから下がる。
「おまえ達には他の任務をやる」
「任務だと?」
「ああ。ヨルの捕獲だ」
「!?」
オレも目を大きく見開いた。
ヨルを捕獲?
「アサから逃げたそうだ。アサも血眼になって捜している。おまえ達の任務はアサの応援。もしヨルを発見したらすぐにアサに知らせろ。抵抗すれば死んでもらうまでだ。だが、オレとしてはできるだけ穏便に済ませたいと思っている。あの女の“血”は貴重だ。利用価値がある」
オレは枝を握りしめ、その場から飛び出すのを堪えた。
ヨルがアサから逃げ出した。
つまり、オレ達のところに戻ってくることになるのか。
それとも、他の居場所を見つけに行ったのか。
どちらにしろ、ヨルを捕獲しろだと?
オレと角都の手で、アサに引き渡せってことか。
あのヤロウ、オレ達3人のことわかってて言ってんのか。
角都だってそんな任務受けるわけがない。
そうだろ、角都。
「わかった」
「!?」
なのに、角都はオレの期待をたった一言で裏切った。
その顔は平然としている。
「おまえ達のところにヨルが現れるかもしれない。とにかく最低半月は様子見だ。それでも現れなかった場合は、アサと合流してヨルの捜索にあたれ」
角都の返事を待つことなく、トビは仮面の右目の穴に吸い込まれるように消えていった。
「…そういうことだ、飛段」
トビが消えたあと、角都に呼ばれても、もう驚かなかった。
驚きより悲しい気持ちの方が大きいのかもしれない。
オレはただ黙ったまま角都の前に姿を見せ、順序良く事情を話してもらった。
角都、オレはおまえがわからなくなってきた。
.