37:カラスが鳴くから
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*クロハ
それは突然のことだった。
今朝、いつまで経っても部屋から出てこないヨルをオレ様とアゲハで様子を見に行き、何度ノックしても出てこなかったから、仕方なく宿主に合い鍵を借りて開けると、そこには折りたたまれた布団しかなかった。
部屋にあるハンガーには外套も引っかかっていない。
窓から出て行ったか。
「チッ。やられた!」
舌を打ったオレ様は、隣の壁に強くコブシを打ちつけた。
「意外」
ああ、アゲハの言う通りだ。
今更、どうして。
もうアサから離れることはないだろう、と油断していた。
あとからアサも部屋に足を踏み入れ、部屋の中央に立ち、口元に笑みを浮かべながらカラッポの部屋を見回している。
オレ様とアゲハは出入口に立ったまま、なんとも言えない表情でそれを眺めるしかなかった。
「はんっ。まさか…、逃げるとくるなんて思わねえだろ」
「追跡。まだ遠くへ行ってない」
「…だとさ。どっち行ったかわからねーが、どうせ、行き先は不死コンビの…」
そう言いかけ、オレ様は言葉を止めた。
とんでもない殺気がこの部屋に充満したからだ。
「おヌシら…、黙れ」
あいつ、あんな顔も出来たのか。
その口元の笑みは完全に消え失せていた。
怒りを露わにしたあんなアサを見るのは、初めてだ。
悪寒と冷や汗が止まらない。
隣に立つアゲハも、その恐怖を顔に出せないとはいえ、呼吸が荒かった。
今、口答えすれば、間違いなく殺されてしまう。
「ヨル…」
窓の先を見つめるアサが呟くと、アサの腰に差されてある“咲”がカタカタとひとりでに震える。
怒りで体を震わせているように見えて、気味が悪かった。
.To be continued
それは突然のことだった。
今朝、いつまで経っても部屋から出てこないヨルをオレ様とアゲハで様子を見に行き、何度ノックしても出てこなかったから、仕方なく宿主に合い鍵を借りて開けると、そこには折りたたまれた布団しかなかった。
部屋にあるハンガーには外套も引っかかっていない。
窓から出て行ったか。
「チッ。やられた!」
舌を打ったオレ様は、隣の壁に強くコブシを打ちつけた。
「意外」
ああ、アゲハの言う通りだ。
今更、どうして。
もうアサから離れることはないだろう、と油断していた。
あとからアサも部屋に足を踏み入れ、部屋の中央に立ち、口元に笑みを浮かべながらカラッポの部屋を見回している。
オレ様とアゲハは出入口に立ったまま、なんとも言えない表情でそれを眺めるしかなかった。
「はんっ。まさか…、逃げるとくるなんて思わねえだろ」
「追跡。まだ遠くへ行ってない」
「…だとさ。どっち行ったかわからねーが、どうせ、行き先は不死コンビの…」
そう言いかけ、オレ様は言葉を止めた。
とんでもない殺気がこの部屋に充満したからだ。
「おヌシら…、黙れ」
あいつ、あんな顔も出来たのか。
その口元の笑みは完全に消え失せていた。
怒りを露わにしたあんなアサを見るのは、初めてだ。
悪寒と冷や汗が止まらない。
隣に立つアゲハも、その恐怖を顔に出せないとはいえ、呼吸が荒かった。
今、口答えすれば、間違いなく殺されてしまう。
「ヨル…」
窓の先を見つめるアサが呟くと、アサの腰に差されてある“咲”がカタカタとひとりでに震える。
怒りで体を震わせているように見えて、気味が悪かった。
.To be continued