36:深淵の底へ
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*デイダラ
また、くだらない後始末係を任せれた。
鳥型のC2に乗って、死体だらけの集落に芸術を落として消滅させる。
トビも協力して落としまくる。
あとかたもなく片付けたあとは挨拶だ。
珍しく、前半の仕事を済ませた奴らが集落から少し離れた川辺で待機していた。
生身でアサと会うのは初めてだったが、やっぱり気に食わない。
「御苦労じゃったのう。いつもいつもすまぬ…」
そう言って形の良い笑みを浮かべた。
旦那は気に入りそうだが、オイラは違う。
だから「フン」と無愛想で返してやった。
「あ、デイダラ先輩、あれヨル先輩じゃないっスか? おーい」
トビが駆けて行く先を見ると、膝を折り曲げて川の水で顔を洗うヨルの姿があった。
不死コンビから離れたってのは聞いていたが、フォーマンセルの任務はうまくいったようだ。
「おい…」
オイラが声をかけると同時に、ヨルはゆっくりと顔だけこちらに振り向いた。
ゾクッ、とその目を見たオイラの背筋が凍りつく。
顔には落ち切れていない血がべったりと付着していて、水と一緒に顔から首へと伝った。
それを見たトビも「ひっ!」とあからさまな声を上げ、足を止める。
「…おまえらか…」
暗く沈んだ瞳がオイラをとらえた。
その瞳には、本当にオイラが映っているのだろうか。
思わず一歩を進めたオイラは、そのままアサ達を通過し、ゆっくりとヨルに近づき、トビと肩を並ばせてもう一度ヨルの目を見る。
「…人形でも、そんな目はしねえだろうな。うん…」
「なんだよ…。サソリみたいなこと言いやがって…」
ヨルは小さく呟き、目を伏せた。
「おまえ…、これでいいのかよ?」
「……………」
「ヨル…!」
その小さくなった肩に触れようとしたとき、横から別の手が伸びてきてオイラの手首をつかんだ。
アサの部下のサングラスをかけた男だ。
「任務で疲れてんだ。関係ない奴は放っておいてくれねえか?」
オイラの額に青筋が浮かんだ。
「関係ねえだと…?」
「わっ! 先輩! ストップストップ!;」
後ろからトビに羽交い絞めにされようが、オイラは構わず暴れた。
「散々オイラを片付け役なんかによこしやがって! 自分のケツは自分で拭いやがれ! うん!」
言いたいことをぶちまけ、うつむいたままのヨルをキッと睨みつける。
「こんな奴らと一緒になるこたあねえよ! ヨル! 理由はわかんねーけど、あいつらと離れるのヤなんだろ!?」
ヨルの口から「違う」と小さく発せられた。
「人形にもなりきれてねえ奴がなに言ってんだ!! うん!?」
「先輩! どうどう!!;」
「うん――――!!」
そのままオイラはトビに引きずられるようにその場をあとにした。
最後にヨルはなにを言ったのか。
オイラには聞きとれなかった。
「うるさい」?
「ほっとけ」?
違う。
『戻れねえよ』
.To be continued
また、くだらない後始末係を任せれた。
鳥型のC2に乗って、死体だらけの集落に芸術を落として消滅させる。
トビも協力して落としまくる。
あとかたもなく片付けたあとは挨拶だ。
珍しく、前半の仕事を済ませた奴らが集落から少し離れた川辺で待機していた。
生身でアサと会うのは初めてだったが、やっぱり気に食わない。
「御苦労じゃったのう。いつもいつもすまぬ…」
そう言って形の良い笑みを浮かべた。
旦那は気に入りそうだが、オイラは違う。
だから「フン」と無愛想で返してやった。
「あ、デイダラ先輩、あれヨル先輩じゃないっスか? おーい」
トビが駆けて行く先を見ると、膝を折り曲げて川の水で顔を洗うヨルの姿があった。
不死コンビから離れたってのは聞いていたが、フォーマンセルの任務はうまくいったようだ。
「おい…」
オイラが声をかけると同時に、ヨルはゆっくりと顔だけこちらに振り向いた。
ゾクッ、とその目を見たオイラの背筋が凍りつく。
顔には落ち切れていない血がべったりと付着していて、水と一緒に顔から首へと伝った。
それを見たトビも「ひっ!」とあからさまな声を上げ、足を止める。
「…おまえらか…」
暗く沈んだ瞳がオイラをとらえた。
その瞳には、本当にオイラが映っているのだろうか。
思わず一歩を進めたオイラは、そのままアサ達を通過し、ゆっくりとヨルに近づき、トビと肩を並ばせてもう一度ヨルの目を見る。
「…人形でも、そんな目はしねえだろうな。うん…」
「なんだよ…。サソリみたいなこと言いやがって…」
ヨルは小さく呟き、目を伏せた。
「おまえ…、これでいいのかよ?」
「……………」
「ヨル…!」
その小さくなった肩に触れようとしたとき、横から別の手が伸びてきてオイラの手首をつかんだ。
アサの部下のサングラスをかけた男だ。
「任務で疲れてんだ。関係ない奴は放っておいてくれねえか?」
オイラの額に青筋が浮かんだ。
「関係ねえだと…?」
「わっ! 先輩! ストップストップ!;」
後ろからトビに羽交い絞めにされようが、オイラは構わず暴れた。
「散々オイラを片付け役なんかによこしやがって! 自分のケツは自分で拭いやがれ! うん!」
言いたいことをぶちまけ、うつむいたままのヨルをキッと睨みつける。
「こんな奴らと一緒になるこたあねえよ! ヨル! 理由はわかんねーけど、あいつらと離れるのヤなんだろ!?」
ヨルの口から「違う」と小さく発せられた。
「人形にもなりきれてねえ奴がなに言ってんだ!! うん!?」
「先輩! どうどう!!;」
「うん――――!!」
そのままオイラはトビに引きずられるようにその場をあとにした。
最後にヨルはなにを言ったのか。
オイラには聞きとれなかった。
「うるさい」?
「ほっとけ」?
違う。
『戻れねえよ』
.To be continued