35:林檎と涙
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
*ヨル
目が覚めると、しみのついた白い天井が目に映った。
自分がベッドに寝かされていることを知り、ぼうっとする頭のまま、上半身を起こして部屋を見回した。
無機質な部屋で、まるで病院の個人部屋みたいだ。
暁のアジトのひとつだろうか。
右横の窓から見えた太陽の位置は昼時であることを伝えてくれる。
ベッド脇の小棚には水の入ったガラスのコップが置かれていた。
毛布から左手を引き抜き、普通の人間の手に戻っていることを確認する。
それから顔や耳を触り、元の顔に戻ってることも知る。
「あのあと…、オレ…」
最後に覚えてるのは、飛段の首筋に牙を突き立てたところまで。
それを思い出すと同時に、両手で顔を覆い、罪悪と焦燥の塊がズシリと背中に圧し掛かってきたのを感じた。
「思い悩んでおるのぅ」
「!?」
扉が開かれ、アサが顔を覗かせた。
「アサ…!」
アサは優しげな笑みを浮かべながら部屋に足を踏み入れ、扉を閉めてこちらに近づき、オレのベッドに腰掛けた。
その右手にはリンゴが握られている。
「…オレはどれくらい寝てた?」
「1週間」
「そんなに…」
鬼化による反動だろう。
予想以上に酷いものだ。
「2人は?」
「このアジトで、ヨルが目覚めるのを待っておる」
「じゃあ…、生きてんだな…」
オレはホッと胸をなで下ろした。背中に圧し掛かってたものが少し軽くなる。
それからしばらく沈黙が部屋を包みこんだ。
「……………」
沈黙を破ったのはアサだった。
オレが顔を伏せていると、アサは「少し…」と言いだす。
「少し…、話をしよう。そのあと決めるのは、ヨル、おヌシじゃ」
オレはわずかに顔を上げ、その話に耳を傾けることにした。
.
目が覚めると、しみのついた白い天井が目に映った。
自分がベッドに寝かされていることを知り、ぼうっとする頭のまま、上半身を起こして部屋を見回した。
無機質な部屋で、まるで病院の個人部屋みたいだ。
暁のアジトのひとつだろうか。
右横の窓から見えた太陽の位置は昼時であることを伝えてくれる。
ベッド脇の小棚には水の入ったガラスのコップが置かれていた。
毛布から左手を引き抜き、普通の人間の手に戻っていることを確認する。
それから顔や耳を触り、元の顔に戻ってることも知る。
「あのあと…、オレ…」
最後に覚えてるのは、飛段の首筋に牙を突き立てたところまで。
それを思い出すと同時に、両手で顔を覆い、罪悪と焦燥の塊がズシリと背中に圧し掛かってきたのを感じた。
「思い悩んでおるのぅ」
「!?」
扉が開かれ、アサが顔を覗かせた。
「アサ…!」
アサは優しげな笑みを浮かべながら部屋に足を踏み入れ、扉を閉めてこちらに近づき、オレのベッドに腰掛けた。
その右手にはリンゴが握られている。
「…オレはどれくらい寝てた?」
「1週間」
「そんなに…」
鬼化による反動だろう。
予想以上に酷いものだ。
「2人は?」
「このアジトで、ヨルが目覚めるのを待っておる」
「じゃあ…、生きてんだな…」
オレはホッと胸をなで下ろした。背中に圧し掛かってたものが少し軽くなる。
それからしばらく沈黙が部屋を包みこんだ。
「……………」
沈黙を破ったのはアサだった。
オレが顔を伏せていると、アサは「少し…」と言いだす。
「少し…、話をしよう。そのあと決めるのは、ヨル、おヌシじゃ」
オレはわずかに顔を上げ、その話に耳を傾けることにした。
.