34:闇は鬼と化す
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*ヨル
胸が痛い。
さっきよりも痛みが増した気がして、立ち止まり、胸の傷口を強く押さえつけた。
「…角都?」
ふと角都のことが気になり、振り返った。
だが、もう廃屋が見えないところまで来てしまったようだ。
夕方になる前に飛段を見つけないと、探知蝙蝠の効力が消えてしまう。
時間は限られている。
「飛段…」
体をバラバラにされただけじゃない。
動けない状態にされているようだ。
「く…っ」
目の前がくらくらする。
胸と腹だけじゃなくて頭も痛くなってきた。
木々の間を通りながら、血の足しになるものを探した。
触れた木に蛇が這っているのを見つけ、反射的に首根っこをつかみ、その首に噛みついて血を啜った。
それでもまだ足りない。
「血が…足りねェ…」
数時間歩き、飛段との距離を徐々に縮めていく。
周りの獣達がオレに警戒し、避けているのが耳に伝わってくる。
追いかけているヒマはない。
飛段はもう目と鼻の先だ。
薄暗い森の中、茂みを掻きわけてただ真っ直ぐに前に進む。
そして、行きついた先には岩で埋め尽くされた穴があった。
微かに漂う火薬の匂いが鼻を刺激する。
オレは目の前の光景を疑った。
「まさか…、この下!?」
探知蝙蝠では、この下に飛段がいるとオレに教えてくれる。
生き埋めにされてしまったのか。
人のことは言えねえが、惨いことを考えつく奴がいたもんだ。
驚いている場合じゃない。
掘り起こさないと、そろそろ探知蝙蝠の効力がなくなる時間だ。
「ぐっ…」
穴に下りたオレは、ひとつずつ岩をどかしていく。
「飛段…!」
重いだろう。
息苦しいだろう。
暗いだろう。
早く助けてやりたい、と思っても、重傷と言えるオレの体は岩ひとつをどかすのに長い時間を食ってしまう。
そしてついに、探知蝙蝠の効力が消えた。
もう飛段がどの辺りにいるのか感じ取れない。
「…?」
なのに、飛段がどの辺りにいるのか、教えてくれたのはオレの鼻だった。
飛段の血の匂いがしたからだ。
「すごく…美味そうな…、血と…肉の匂い…」
それほど力を込めたわけでもないのに、つかんでいた岩にヒビを刻んだ。
.
胸が痛い。
さっきよりも痛みが増した気がして、立ち止まり、胸の傷口を強く押さえつけた。
「…角都?」
ふと角都のことが気になり、振り返った。
だが、もう廃屋が見えないところまで来てしまったようだ。
夕方になる前に飛段を見つけないと、探知蝙蝠の効力が消えてしまう。
時間は限られている。
「飛段…」
体をバラバラにされただけじゃない。
動けない状態にされているようだ。
「く…っ」
目の前がくらくらする。
胸と腹だけじゃなくて頭も痛くなってきた。
木々の間を通りながら、血の足しになるものを探した。
触れた木に蛇が這っているのを見つけ、反射的に首根っこをつかみ、その首に噛みついて血を啜った。
それでもまだ足りない。
「血が…足りねェ…」
数時間歩き、飛段との距離を徐々に縮めていく。
周りの獣達がオレに警戒し、避けているのが耳に伝わってくる。
追いかけているヒマはない。
飛段はもう目と鼻の先だ。
薄暗い森の中、茂みを掻きわけてただ真っ直ぐに前に進む。
そして、行きついた先には岩で埋め尽くされた穴があった。
微かに漂う火薬の匂いが鼻を刺激する。
オレは目の前の光景を疑った。
「まさか…、この下!?」
探知蝙蝠では、この下に飛段がいるとオレに教えてくれる。
生き埋めにされてしまったのか。
人のことは言えねえが、惨いことを考えつく奴がいたもんだ。
驚いている場合じゃない。
掘り起こさないと、そろそろ探知蝙蝠の効力がなくなる時間だ。
「ぐっ…」
穴に下りたオレは、ひとつずつ岩をどかしていく。
「飛段…!」
重いだろう。
息苦しいだろう。
暗いだろう。
早く助けてやりたい、と思っても、重傷と言えるオレの体は岩ひとつをどかすのに長い時間を食ってしまう。
そしてついに、探知蝙蝠の効力が消えた。
もう飛段がどの辺りにいるのか感じ取れない。
「…?」
なのに、飛段がどの辺りにいるのか、教えてくれたのはオレの鼻だった。
飛段の血の匂いがしたからだ。
「すごく…美味そうな…、血と…肉の匂い…」
それほど力を込めたわけでもないのに、つかんでいた岩にヒビを刻んだ。
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