33:意味ある時間
夢小説設定
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*ヨル
木々の間を走り抜けながらオレ達は互いの刃をぶつけ合った。
左の夢魔を横に振るえば左の鉤爪で弾かれ、右の鉤爪が突き出されば右の夢魔で防いだ。
だが、速さはユウの方が上だ。
岩隠れの里での戦いの時と同じく、動きについていくのがやっとだ。
長期戦になれば確実に不利なことはわかってる。
それでも、こいつにだけは勝たなければいけない。
オレは大きく後ろに飛び、音寄せを発動した。
森に生息する大量のコウモリ達が次々とオレの頭上を通過し、ユウに襲いかかろうとする。
ユウは鉤爪で飛びかかってきた数羽のコウモリを薙ぎ払い、木の枝に飛び乗った。
「鬱陶しい」
そう言って舌を打つと、オレの耳が大量の羽音を聞きとった。
「!」
真上を見上げると、オレが集めたコウモリ達より多くの鳥達が空に集まった。
「羽寄せか」
オレの音寄せと同じだ。
オレの場合はコウモリやネズミといった小さな哺乳類を操るが、ユウの場合は鳥類を操る。
なにを仕掛けてくるかと思えば、いきなり鳥の群れが急スピードで下降してきた。
鳥の雨だ。
「な!?」
鳥の鋭いくちばしが次々とコウモリ達の背中に突き刺さり、そのまま地面へ自分ごと叩きつける。
特攻隊のような捨て身の攻撃だ。
「くっ!」
オレは自分の頭上に落下してくる鳥達を夢魔の峰の部分で払った。
静けさを取り戻した辺りにはコウモリと鳥の死体が転がっている。
そしてクスクスと笑い声が降ってきた。
「この能力は、こういうことに使わないと…」
オレは上を見上げ、ユウを睨みつけた。
ユウは自分の右肩に留まった1羽の鳥をつかみ、躊躇なく首に噛みついて血を啜り、「…ねえ?」と口の周りを赤く染めて笑った。
オレは共食いするその光景に気持ち悪さを覚える。
「てめーとは違ェよ」
オレは左の夢魔を投げつけた。
ユウは避けるためにわざと木の枝から足を踏み外し、落下する。
オレはそこを狙い、着地する前に空中で仕留めようと素早く左用の夢魔を引き抜き、両手に夢魔を抱えて突進した。
だが、ユウはオレが夢魔を振るうと同時に、両足から狂翼を生やして上へ飛んで避けた。
「別にボクもヨルと同じだなんて思ってないよ。思いたくない。この朱族の恥さらし!」
ユウは宙を飛びながら木々の間を抜け、勢いをつけてオレに突っ込んでくる。
オレはすぐに両手の夢魔を交差させて防ぐが、勢いに負けて後ろの木に向かって吹っ飛んだ。
すぐに体勢を変えてぶつかりそうになった木に両足をつけて衝突を免れる。
「へえっ、少しは器用なことができるようになったね」
「いつまでもバカにしてんじゃねーよ」
チャクラで木に足をつけた状態で力を込め、木を思いっきり蹴ってユウに向かって真っ直ぐに突っ込む。
互いに相手の体を切り裂こうと交差する瞬間に何十回と打ち合い、金属音を森中に響かせ、オレは少し離れた場所に地面に足を擦らせながらも着地した。
しかし、振り向けばユウはすぐ目前にいた。
「!!」
「やっぱ遅い。ヨルは遅い!」
メキッ、と肋骨にヒビが入る音が聞こえた。
肋間を爪先で蹴られたからだ。
「が…っ」
痛みが走ると同時にオレは地面に転がり、うつ伏せに倒れた。
ユウは「フフン」と自慢げに鼻を鳴らし、地面に足をつけて近づいてくる。
「この2年、なにを遊んでたか知らないけど、少~し戦えるようになったからって、ボクに勝てるわけないじゃん。わかる? ねえ、聞いてる?」
そう言ってオレの頭を踏んだ。
「…っ」
オレは懐から小さな袋を取り出し、中をつかみだして口の中に放りこみ、噛み砕いた。
「傲慢なのも、大概にしろ」
体内の血が騒ぎ、溢れだすようにオレの背中に大きな赤黒い翼となって現れる。
「!!」
足をどけたユウは驚いた顔でオレの大きな翼を見上げた。
黒鬼牢。
瞬間、赤黒い翼は分散し、辺りを闇に包んだ。
しかし、闇に包まれる瞬間、オレはユウの口端が不気味に吊りあがるのを見た。
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木々の間を走り抜けながらオレ達は互いの刃をぶつけ合った。
左の夢魔を横に振るえば左の鉤爪で弾かれ、右の鉤爪が突き出されば右の夢魔で防いだ。
だが、速さはユウの方が上だ。
岩隠れの里での戦いの時と同じく、動きについていくのがやっとだ。
長期戦になれば確実に不利なことはわかってる。
それでも、こいつにだけは勝たなければいけない。
オレは大きく後ろに飛び、音寄せを発動した。
森に生息する大量のコウモリ達が次々とオレの頭上を通過し、ユウに襲いかかろうとする。
ユウは鉤爪で飛びかかってきた数羽のコウモリを薙ぎ払い、木の枝に飛び乗った。
「鬱陶しい」
そう言って舌を打つと、オレの耳が大量の羽音を聞きとった。
「!」
真上を見上げると、オレが集めたコウモリ達より多くの鳥達が空に集まった。
「羽寄せか」
オレの音寄せと同じだ。
オレの場合はコウモリやネズミといった小さな哺乳類を操るが、ユウの場合は鳥類を操る。
なにを仕掛けてくるかと思えば、いきなり鳥の群れが急スピードで下降してきた。
鳥の雨だ。
「な!?」
鳥の鋭いくちばしが次々とコウモリ達の背中に突き刺さり、そのまま地面へ自分ごと叩きつける。
特攻隊のような捨て身の攻撃だ。
「くっ!」
オレは自分の頭上に落下してくる鳥達を夢魔の峰の部分で払った。
静けさを取り戻した辺りにはコウモリと鳥の死体が転がっている。
そしてクスクスと笑い声が降ってきた。
「この能力は、こういうことに使わないと…」
オレは上を見上げ、ユウを睨みつけた。
ユウは自分の右肩に留まった1羽の鳥をつかみ、躊躇なく首に噛みついて血を啜り、「…ねえ?」と口の周りを赤く染めて笑った。
オレは共食いするその光景に気持ち悪さを覚える。
「てめーとは違ェよ」
オレは左の夢魔を投げつけた。
ユウは避けるためにわざと木の枝から足を踏み外し、落下する。
オレはそこを狙い、着地する前に空中で仕留めようと素早く左用の夢魔を引き抜き、両手に夢魔を抱えて突進した。
だが、ユウはオレが夢魔を振るうと同時に、両足から狂翼を生やして上へ飛んで避けた。
「別にボクもヨルと同じだなんて思ってないよ。思いたくない。この朱族の恥さらし!」
ユウは宙を飛びながら木々の間を抜け、勢いをつけてオレに突っ込んでくる。
オレはすぐに両手の夢魔を交差させて防ぐが、勢いに負けて後ろの木に向かって吹っ飛んだ。
すぐに体勢を変えてぶつかりそうになった木に両足をつけて衝突を免れる。
「へえっ、少しは器用なことができるようになったね」
「いつまでもバカにしてんじゃねーよ」
チャクラで木に足をつけた状態で力を込め、木を思いっきり蹴ってユウに向かって真っ直ぐに突っ込む。
互いに相手の体を切り裂こうと交差する瞬間に何十回と打ち合い、金属音を森中に響かせ、オレは少し離れた場所に地面に足を擦らせながらも着地した。
しかし、振り向けばユウはすぐ目前にいた。
「!!」
「やっぱ遅い。ヨルは遅い!」
メキッ、と肋骨にヒビが入る音が聞こえた。
肋間を爪先で蹴られたからだ。
「が…っ」
痛みが走ると同時にオレは地面に転がり、うつ伏せに倒れた。
ユウは「フフン」と自慢げに鼻を鳴らし、地面に足をつけて近づいてくる。
「この2年、なにを遊んでたか知らないけど、少~し戦えるようになったからって、ボクに勝てるわけないじゃん。わかる? ねえ、聞いてる?」
そう言ってオレの頭を踏んだ。
「…っ」
オレは懐から小さな袋を取り出し、中をつかみだして口の中に放りこみ、噛み砕いた。
「傲慢なのも、大概にしろ」
体内の血が騒ぎ、溢れだすようにオレの背中に大きな赤黒い翼となって現れる。
「!!」
足をどけたユウは驚いた顔でオレの大きな翼を見上げた。
黒鬼牢。
瞬間、赤黒い翼は分散し、辺りを闇に包んだ。
しかし、闇に包まれる瞬間、オレはユウの口端が不気味に吊りあがるのを見た。
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