32:守る玉
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
*ヨル
火ノ寺を襲撃して3日後、オレ達は木々に挟まれた山道を歩いていた。
角都はまだ地陸の死体を持っていた。
だからわざわざ人気のない道を通ってるわけだが。
腐るどころか死臭もしないし、虫もたからない。
角都がチャクラでそうしているのか、お香でそうしてるのか。
しかし、そろそろ換金所へ持って行ってもらわないと。
死体と寝るのは落ち着かない。
「次はおまえが持て」
途中、角都が立ち止まって飛段に言った。
それで飛段が「はいはい」と快く引き受けるわけがない。
「おいおいおい。金金言ってんのはてめーだろ。最後までてめーが運べ」
飛段も立ち止まって言い返す。
「……………」
角都は黙って飛段を見つめる。
「なんだよォ、そのめんどくせー目はよォ!?」
オレはため息をついた。
毎回毎回この険悪な空気、いい加減にしてくれ。
それでもオレは、今、口を挟めば余計に面倒なことになるとわかってるからなにも言わない。
それに、
「おまえはいつか必ずオレが殺してやる」
「だからそれをオレに言うかよ、角都」
結局はこの言葉で終わるからな。
オレにとってもどちらにとってもちょうどいいのかもしれない。
オレもなにかそういうセリフ考えようかな。
「ヨル、難しい顔してなに考えてんだ? りんご飴はしばらく食えねーぞ」
「ヨル、馬鹿は使えん。おまえが持て」
「おまえらな…」
また最悪なところに来てしまった。
山道を抜け、電信柱が並ぶ道を歩いていた先に大きな公衆トイレが見えてきた。
角都が死体を連れたままそこに入り、用を足しに行くのかと思った飛段は「連れションといくか」と角都と一緒に公衆トイレに入って行った。
「ヨル、おまえも行くか?」
踵を返して出入口から顔を覗かせた飛段が、オレに声をかける。
「……なんでトイレが女子と男子に分かれてるか知ってるのか?」
それに、トイレの悪臭に混じった別の悪臭にただのトイレでないことを察していた。
オレはその場で待機し、何匹かコウモリを集めて飛ばし、偵察に行かせ、2人を待つことにした。
******
しばらくして、不機嫌な顔をした飛段がトイレから出てきた。
トイレ前の階段に座るオレを見下ろし、睨みつける。言いたいことはわかってる。
「てめー、知ってたろ」って顔だ。
「おまえな、角都が死体連れてションベン行ったことあったかよ」
用を足すときはオレ達に死体を押し付け、見張らせていた。
「だったら教えろよ」
飛段は文句を言いながらオレの隣に座る。
「用足して、さっさと出てくりゃよかっただろ」
まるで、親についてく子どもだ。
「…臭うか?」
「…少しな」
「マジかよォ」
飛段はくんくんと自分の外套の袖を嗅いだ。
長くいる角都も悪臭を漂わせて戻ってくるはずだ。
「ははっ、風呂入らねーとな」
「ったく、なんでトイレが換金所なんだよ」
オレは「まあまあ」となだめる。
「そう言うな。これであの死体ともおさらば。金は自分で持ってくれるだろ」
その時、口を尖らせた飛段が「ん?」と顔を上げ、「おい、あれ…」と斜め上を指さした。
オレは差された先を目でおいかけ、それを見つけた。
「!」
1匹のコウモリが傷だらけで戻ってきた。
オレは立ち上がり、落下するように落下してきたそいつを両手で受け止める。
「他の奴らはどうした?」
「キィ…」
コウモリの声は弱々しい。この傷は切り傷か。
「なんでそいつ、そんなケガしてんだ?」
飛段も立ち上がり、オレの背後からそいつを覗きこんだ。
「10匹くらい飛ばして辺りの偵察に行かせたのに…。こいつしか戻らなかった…」
なにかあったんだ。
偵察のコウモリだと知ったうえで襲われたのかもしれない。
逃げてきたコウモリは、静かに息を引き取った。
それを見届けたオレはそれを階段に優しく置き、飛段に振り返る。
「…飛段、オレ少し様子見てくる」
「オレも…」
「いや、ここにいてくれ。すぐに戻る」
オレ達を探してる奴らを発見したら、戦わずに飛段達のところに戻って戦った方がよさそうだ。
オレは飛段に探知蝙蝠を仕込み、そこから離れた。
コウモリが飛んできただろう方向へ走り、電信柱が並ぶ道から外れて森の中へと入る。
少し進んだ先にそれはいたるところに転がっていた。
「これは…」
一匹ずつ拾って死因を確認する。
切り刻まれた奴もいれば、衰弱して死んだ奴もいる。
「なにがあったんだ…」
とにかく、ここにコウモリ達が死んでて敵が見当たらなければ、もう敵はあの2人のところに行ったのかもしれない。
今のところ飛段に乱れはない。
「急がないと…」
そう呟いて踵を返した時だ。
「!!?」
いきなりオレの足下から木々の根っこがいくつも生えてきた。
「しまっ…」
まさにミイラとりがミイラ。
オレはまんまと敵の罠にかかってしまった。
.
火ノ寺を襲撃して3日後、オレ達は木々に挟まれた山道を歩いていた。
角都はまだ地陸の死体を持っていた。
だからわざわざ人気のない道を通ってるわけだが。
腐るどころか死臭もしないし、虫もたからない。
角都がチャクラでそうしているのか、お香でそうしてるのか。
しかし、そろそろ換金所へ持って行ってもらわないと。
死体と寝るのは落ち着かない。
「次はおまえが持て」
途中、角都が立ち止まって飛段に言った。
それで飛段が「はいはい」と快く引き受けるわけがない。
「おいおいおい。金金言ってんのはてめーだろ。最後までてめーが運べ」
飛段も立ち止まって言い返す。
「……………」
角都は黙って飛段を見つめる。
「なんだよォ、そのめんどくせー目はよォ!?」
オレはため息をついた。
毎回毎回この険悪な空気、いい加減にしてくれ。
それでもオレは、今、口を挟めば余計に面倒なことになるとわかってるからなにも言わない。
それに、
「おまえはいつか必ずオレが殺してやる」
「だからそれをオレに言うかよ、角都」
結局はこの言葉で終わるからな。
オレにとってもどちらにとってもちょうどいいのかもしれない。
オレもなにかそういうセリフ考えようかな。
「ヨル、難しい顔してなに考えてんだ? りんご飴はしばらく食えねーぞ」
「ヨル、馬鹿は使えん。おまえが持て」
「おまえらな…」
また最悪なところに来てしまった。
山道を抜け、電信柱が並ぶ道を歩いていた先に大きな公衆トイレが見えてきた。
角都が死体を連れたままそこに入り、用を足しに行くのかと思った飛段は「連れションといくか」と角都と一緒に公衆トイレに入って行った。
「ヨル、おまえも行くか?」
踵を返して出入口から顔を覗かせた飛段が、オレに声をかける。
「……なんでトイレが女子と男子に分かれてるか知ってるのか?」
それに、トイレの悪臭に混じった別の悪臭にただのトイレでないことを察していた。
オレはその場で待機し、何匹かコウモリを集めて飛ばし、偵察に行かせ、2人を待つことにした。
******
しばらくして、不機嫌な顔をした飛段がトイレから出てきた。
トイレ前の階段に座るオレを見下ろし、睨みつける。言いたいことはわかってる。
「てめー、知ってたろ」って顔だ。
「おまえな、角都が死体連れてションベン行ったことあったかよ」
用を足すときはオレ達に死体を押し付け、見張らせていた。
「だったら教えろよ」
飛段は文句を言いながらオレの隣に座る。
「用足して、さっさと出てくりゃよかっただろ」
まるで、親についてく子どもだ。
「…臭うか?」
「…少しな」
「マジかよォ」
飛段はくんくんと自分の外套の袖を嗅いだ。
長くいる角都も悪臭を漂わせて戻ってくるはずだ。
「ははっ、風呂入らねーとな」
「ったく、なんでトイレが換金所なんだよ」
オレは「まあまあ」となだめる。
「そう言うな。これであの死体ともおさらば。金は自分で持ってくれるだろ」
その時、口を尖らせた飛段が「ん?」と顔を上げ、「おい、あれ…」と斜め上を指さした。
オレは差された先を目でおいかけ、それを見つけた。
「!」
1匹のコウモリが傷だらけで戻ってきた。
オレは立ち上がり、落下するように落下してきたそいつを両手で受け止める。
「他の奴らはどうした?」
「キィ…」
コウモリの声は弱々しい。この傷は切り傷か。
「なんでそいつ、そんなケガしてんだ?」
飛段も立ち上がり、オレの背後からそいつを覗きこんだ。
「10匹くらい飛ばして辺りの偵察に行かせたのに…。こいつしか戻らなかった…」
なにかあったんだ。
偵察のコウモリだと知ったうえで襲われたのかもしれない。
逃げてきたコウモリは、静かに息を引き取った。
それを見届けたオレはそれを階段に優しく置き、飛段に振り返る。
「…飛段、オレ少し様子見てくる」
「オレも…」
「いや、ここにいてくれ。すぐに戻る」
オレ達を探してる奴らを発見したら、戦わずに飛段達のところに戻って戦った方がよさそうだ。
オレは飛段に探知蝙蝠を仕込み、そこから離れた。
コウモリが飛んできただろう方向へ走り、電信柱が並ぶ道から外れて森の中へと入る。
少し進んだ先にそれはいたるところに転がっていた。
「これは…」
一匹ずつ拾って死因を確認する。
切り刻まれた奴もいれば、衰弱して死んだ奴もいる。
「なにがあったんだ…」
とにかく、ここにコウモリ達が死んでて敵が見当たらなければ、もう敵はあの2人のところに行ったのかもしれない。
今のところ飛段に乱れはない。
「急がないと…」
そう呟いて踵を返した時だ。
「!!?」
いきなりオレの足下から木々の根っこがいくつも生えてきた。
「しまっ…」
まさにミイラとりがミイラ。
オレはまんまと敵の罠にかかってしまった。
.