30:猫と鬼ごっこ
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*ヨル
それからまた、数日が経過した。オレ達は雷の国に足を踏み入れていた。
ふと、上を見上げると、青空にぽつぽつと雲が増えてきた。
オレ達はそんな空の下で、草や花を踏みしめながら一歩一歩と、速くも遅くもなく歩き続けている。
さっき休憩したところだから、飛段も歩調を角都に合わせて斜め後ろを歩いていた。オレはその後ろを歩いている。
緑の大地も、茶色の地面が目立ち始め、周りには岩山が見えてきた。
雲隠れの里までそろそろだろう。
「!」
オレは足下の三つ葉の群れからあるものを見つけ、その場に立ち止まった。
それに気付いた飛段もこちらに振り返って立ち止まり、「どうしたァ?」と声をかける。同じく角都も立ち止まってこちらに振り返る。
オレは三つ葉の中からその1本を摘み取り、飛段に見せつけた。
「いや、珍しいものを見つけてな」
三つ葉なのに、葉が一枚多い。
近づく飛段もそれを珍しげに見る。
「ヘェ、四葉のクローバーじゃねーか。運がいいな」
「運がいいのか?」
「ああ。見つけたら幸せになるらしいぜ」
自慢げに話すが、たぶん角都から聞かされた知識だろう。
「幸せ…」
オレはしげしげとそれを見つめる。
珍しいものだから、人間は見つけたら「幸せ」を運ぶものだと思いたいのだろうか。
「行くぞ」
再び角都が歩きだし、飛段もそれについていく。
オレが歩きだすと、前方から風が吹いた。
オレは手のひらを開け、風が手のひらの上の四葉のクローバーを連れ去っていく。
幸せなら、間に合ってる。
小さな緑が青空の彼方まで流されていくのを見届け、2人の背中を追いかけた。
足下は完全に硬い茶色の地面が広がっている。
渓谷にかけられた吊り橋も先程越えたところだ。
「二尾の人柱力は、二位ユギト。雲隠れのくの一。ランクは上忍だ。齢2つで二尾の人柱力か」
アサからもらった封筒には二尾の情報が書かれてある。
角都はそれを読みながら先を歩いていた。
「よく調べられてあるな」
感心している角都を見て、飛段は顔をムッとさせ、両手を後頭部に組んだ。
「リーダーでも突きとめられなかった情報を、そう呆気なく調べられると、かえって本当かどうか怪しくねーかァ?」
不機嫌になったところ悪いが、オレは飛段に言う。
「アサの情報は、いつも正しかった」
昔と変わってなければ、怖いくらいに。
「…あ、そ」
なにか言いたげだったようだが、飛段はそう返した。
実に面白くなさげだ。
他人の力は借りたくなかったってか。
そのうえ、目的だった人柱力を横取りした張本人だからな。
反対に角都は、利益のためなら使えるものは使う。
オレとしては、さっさと人柱力集めてリーダーの次の指令が来るまで気ままな旅がしたいし、けど、そのためになにを企んでいるのかわからないアサの力に頼るのは正直複雑な気持ちだ。
「! 見えてきたぜ」
飛段が歩を進めながら前方を指さす。
高い岩山と岩山の間には関門であろうフェンスが立てられ、それを越えたずっと先には岩山を削られて作られた家や、コンクリートで作られた建物がいくつもある。
岩隠れの里と同じかと思ったが、渓谷や水辺が多い。
「あれが…」
「ああ。雲隠れの里だ」
角都から顔を上げて答える。
「ようやくか…」
オレは「ふぅ」と息をつく。
岩隠れの里から出発してから随分とかかった。
途中でバイトや他の町に寄り道したのもあって、その旅路も悪いものじゃなかった。
その途中の旅路の内容をひとつひとつ詳しく話すと長くなる。
とにかく色々あった。
「遅れるな。早速、雲隠れに入る」
「おう」
飛段の表情は楽しげだ。
暴れられれば機嫌も良くなる。
機嫌が移ったオレは角都に尋ねた。
「さて、最初はどう出る?」
.
それからまた、数日が経過した。オレ達は雷の国に足を踏み入れていた。
ふと、上を見上げると、青空にぽつぽつと雲が増えてきた。
オレ達はそんな空の下で、草や花を踏みしめながら一歩一歩と、速くも遅くもなく歩き続けている。
さっき休憩したところだから、飛段も歩調を角都に合わせて斜め後ろを歩いていた。オレはその後ろを歩いている。
緑の大地も、茶色の地面が目立ち始め、周りには岩山が見えてきた。
雲隠れの里までそろそろだろう。
「!」
オレは足下の三つ葉の群れからあるものを見つけ、その場に立ち止まった。
それに気付いた飛段もこちらに振り返って立ち止まり、「どうしたァ?」と声をかける。同じく角都も立ち止まってこちらに振り返る。
オレは三つ葉の中からその1本を摘み取り、飛段に見せつけた。
「いや、珍しいものを見つけてな」
三つ葉なのに、葉が一枚多い。
近づく飛段もそれを珍しげに見る。
「ヘェ、四葉のクローバーじゃねーか。運がいいな」
「運がいいのか?」
「ああ。見つけたら幸せになるらしいぜ」
自慢げに話すが、たぶん角都から聞かされた知識だろう。
「幸せ…」
オレはしげしげとそれを見つめる。
珍しいものだから、人間は見つけたら「幸せ」を運ぶものだと思いたいのだろうか。
「行くぞ」
再び角都が歩きだし、飛段もそれについていく。
オレが歩きだすと、前方から風が吹いた。
オレは手のひらを開け、風が手のひらの上の四葉のクローバーを連れ去っていく。
幸せなら、間に合ってる。
小さな緑が青空の彼方まで流されていくのを見届け、2人の背中を追いかけた。
足下は完全に硬い茶色の地面が広がっている。
渓谷にかけられた吊り橋も先程越えたところだ。
「二尾の人柱力は、二位ユギト。雲隠れのくの一。ランクは上忍だ。齢2つで二尾の人柱力か」
アサからもらった封筒には二尾の情報が書かれてある。
角都はそれを読みながら先を歩いていた。
「よく調べられてあるな」
感心している角都を見て、飛段は顔をムッとさせ、両手を後頭部に組んだ。
「リーダーでも突きとめられなかった情報を、そう呆気なく調べられると、かえって本当かどうか怪しくねーかァ?」
不機嫌になったところ悪いが、オレは飛段に言う。
「アサの情報は、いつも正しかった」
昔と変わってなければ、怖いくらいに。
「…あ、そ」
なにか言いたげだったようだが、飛段はそう返した。
実に面白くなさげだ。
他人の力は借りたくなかったってか。
そのうえ、目的だった人柱力を横取りした張本人だからな。
反対に角都は、利益のためなら使えるものは使う。
オレとしては、さっさと人柱力集めてリーダーの次の指令が来るまで気ままな旅がしたいし、けど、そのためになにを企んでいるのかわからないアサの力に頼るのは正直複雑な気持ちだ。
「! 見えてきたぜ」
飛段が歩を進めながら前方を指さす。
高い岩山と岩山の間には関門であろうフェンスが立てられ、それを越えたずっと先には岩山を削られて作られた家や、コンクリートで作られた建物がいくつもある。
岩隠れの里と同じかと思ったが、渓谷や水辺が多い。
「あれが…」
「ああ。雲隠れの里だ」
角都から顔を上げて答える。
「ようやくか…」
オレは「ふぅ」と息をつく。
岩隠れの里から出発してから随分とかかった。
途中でバイトや他の町に寄り道したのもあって、その旅路も悪いものじゃなかった。
その途中の旅路の内容をひとつひとつ詳しく話すと長くなる。
とにかく色々あった。
「遅れるな。早速、雲隠れに入る」
「おう」
飛段の表情は楽しげだ。
暴れられれば機嫌も良くなる。
機嫌が移ったオレは角都に尋ねた。
「さて、最初はどう出る?」
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