26:表裏の舞台
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*飛段
オレの目の前には、ローブを身に纏ったままの奴が立っていた。
顔が隠れているせいで性別がわからない。
怪訝な顔でそいつをじっと見つめる。
背はオレより少し低いくらいか。
「おい、それ外せよ」
「……………」
「無視かよ」
オレは苛立って唾を吐き捨てる。
「それでは、湯隠れ飛段と砂隠れ日暮ユウ、始め!」
その名を聞いてオレははっと顔を上げた。
「日暮ユウ」。
ヨルの言ってた同族の名前じゃねえか。
「てめーがユウか。なに考えてこの大会に参加してんだ?」
「……………」
オレの額に青筋が浮き上がる。
「だから…、シカトしてんじゃねーよォ!!」
オレは三連鎌をつかみとり、そいつに躍りかかった。
そいつはバック走しながらひらりひらりとオレの三連鎌を避け続ける。
「ほらァ、どうしたァ!?」
反撃もしてこない。
「狂ってしまった」
「ああ!?」
そいつはブツブツ呟きながら避けていく。
「狂ってしまった。狂ってしまった。狂ってしまった。狂ってしまった…」
さすがに気味悪く感じた。
そいつの顔面がいきなりずいっとオレの間近に迫ってくる。
目が合った。
ヨルと同じ朱色の目だ。
ギクリとしてそいつの顔を見る余裕もなく、オレは三連鎌を横に振るった。
「狂ってんのは、てめーだろ!!」
ズバン!!
ユウの胴体を横に切断した。
下半身を失った胴体は宙を飛び、うつ伏せに落ちる。
「…ハァ?」
おかしい。
ヌマチは手を挙げた。
「勝者、湯隠れ・飛段!」
「ちょっと待てって!」
呆気なさすぎる。
オレは胴体に近づき、おそるおそるローブをめくった。
「カラッポ…?」
今思い出せば、手応えはなかった。
すぐに辺りを見回したが、それらしい姿はどこにもない。
「なんだったんだよ、クソ…」
警告か、単なる挨拶か。
ヒルよりタチが悪いんだったな。
なら、相当なことをやらかしてくれるはずだ。
ここで終わりなわけがない。
三連鎌を担ぎ、もやもやする頭で階段を下りる。
「さすが、瞬殺でしたね!」
セキが駆け寄ってきて現実に戻された。
「しまったァ…;」
そういえば、ヨルとオレが勝って2勝したのはいいが、残ってるのはセキ1人だけだ。
こいつが勝たないと優勝できない。
「次…、おまえだぞ;」
「はっ!;」
セキの顔がみるみる蒼白になっていく。
オレは後頭部をガシガシと掻き、「うーん」と唸ったあと、セキの両肩に手を置いた。
「セキ、全部てめーにかかってんだ。絶対勝てよ」
期待はしてない。
けど今は縋るしかない。
「プ、プレッシャーかけないでください(汗)」
セキの声は震えていた。
もうダメかもしれない。
「セキ…」
水波も自身の傷を治しながら、心配そうにセキを見た。
「ま、まあ、オレでも瞬殺だったんだ。てめーならいける。大丈夫だって」
オレは苦し紛れに励ました。
敵も最後の対戦でいちいち弱い奴を出してくれるだろうか。
「早く、上がってきてください」
ヌマチはステージから声をかける。
「男には心の準備ってモンが必要なんだ! もうちょっと待ってやれ! 鬼かてめー!(怒)」
その準備が出来たのか、セキはビビりながらも階段を上がっていく。
相手側も出てきた。
初戦のマサカリより図体のデカい奴だ。
引き摺ってるのはこれまたデカい鉄球だ。
オレと水波は互いに顔を真っ青にしながら顔を合わせる。
「うっわぁ…」
「難しそうだァ…」
それでもヌマチは容赦しない。
「砂隠れセキと霧隠れ鉄丸、始め!」
「お、おい、あいつはなにができるんだ?」
オレはステージを見上げながら水波に尋ねた。
「クナイの腕もいいし、術も使える。けど、あのコが他の忍を殺すところは見たことない」
近くにいたら一喝してるところだ「甘ェ!」って。
ジャシン教にはふさわしくねーな。
鉄丸が鉄球を振り回し、セキを潰そうとする。
セキは「うわぁ」「ひい」と叫びながらも避けていった。
「逃げんなチビィ!!」
鉄球の鎖が波打ち、
「うわあ!!」
セキを弾いた。
「セキ!!」
水波は怪我した体で立ち上がろうとする。
鉄丸はセキに近づき、見下ろした。
ふと、片眉が吊り上がる。
「ガキ、なにがおかしい?」
「イヒッ。やっぱ…、やっぱ弱い。おまえは、ボクより弱い」
.To be continued
オレの目の前には、ローブを身に纏ったままの奴が立っていた。
顔が隠れているせいで性別がわからない。
怪訝な顔でそいつをじっと見つめる。
背はオレより少し低いくらいか。
「おい、それ外せよ」
「……………」
「無視かよ」
オレは苛立って唾を吐き捨てる。
「それでは、湯隠れ飛段と砂隠れ日暮ユウ、始め!」
その名を聞いてオレははっと顔を上げた。
「日暮ユウ」。
ヨルの言ってた同族の名前じゃねえか。
「てめーがユウか。なに考えてこの大会に参加してんだ?」
「……………」
オレの額に青筋が浮き上がる。
「だから…、シカトしてんじゃねーよォ!!」
オレは三連鎌をつかみとり、そいつに躍りかかった。
そいつはバック走しながらひらりひらりとオレの三連鎌を避け続ける。
「ほらァ、どうしたァ!?」
反撃もしてこない。
「狂ってしまった」
「ああ!?」
そいつはブツブツ呟きながら避けていく。
「狂ってしまった。狂ってしまった。狂ってしまった。狂ってしまった…」
さすがに気味悪く感じた。
そいつの顔面がいきなりずいっとオレの間近に迫ってくる。
目が合った。
ヨルと同じ朱色の目だ。
ギクリとしてそいつの顔を見る余裕もなく、オレは三連鎌を横に振るった。
「狂ってんのは、てめーだろ!!」
ズバン!!
ユウの胴体を横に切断した。
下半身を失った胴体は宙を飛び、うつ伏せに落ちる。
「…ハァ?」
おかしい。
ヌマチは手を挙げた。
「勝者、湯隠れ・飛段!」
「ちょっと待てって!」
呆気なさすぎる。
オレは胴体に近づき、おそるおそるローブをめくった。
「カラッポ…?」
今思い出せば、手応えはなかった。
すぐに辺りを見回したが、それらしい姿はどこにもない。
「なんだったんだよ、クソ…」
警告か、単なる挨拶か。
ヒルよりタチが悪いんだったな。
なら、相当なことをやらかしてくれるはずだ。
ここで終わりなわけがない。
三連鎌を担ぎ、もやもやする頭で階段を下りる。
「さすが、瞬殺でしたね!」
セキが駆け寄ってきて現実に戻された。
「しまったァ…;」
そういえば、ヨルとオレが勝って2勝したのはいいが、残ってるのはセキ1人だけだ。
こいつが勝たないと優勝できない。
「次…、おまえだぞ;」
「はっ!;」
セキの顔がみるみる蒼白になっていく。
オレは後頭部をガシガシと掻き、「うーん」と唸ったあと、セキの両肩に手を置いた。
「セキ、全部てめーにかかってんだ。絶対勝てよ」
期待はしてない。
けど今は縋るしかない。
「プ、プレッシャーかけないでください(汗)」
セキの声は震えていた。
もうダメかもしれない。
「セキ…」
水波も自身の傷を治しながら、心配そうにセキを見た。
「ま、まあ、オレでも瞬殺だったんだ。てめーならいける。大丈夫だって」
オレは苦し紛れに励ました。
敵も最後の対戦でいちいち弱い奴を出してくれるだろうか。
「早く、上がってきてください」
ヌマチはステージから声をかける。
「男には心の準備ってモンが必要なんだ! もうちょっと待ってやれ! 鬼かてめー!(怒)」
その準備が出来たのか、セキはビビりながらも階段を上がっていく。
相手側も出てきた。
初戦のマサカリより図体のデカい奴だ。
引き摺ってるのはこれまたデカい鉄球だ。
オレと水波は互いに顔を真っ青にしながら顔を合わせる。
「うっわぁ…」
「難しそうだァ…」
それでもヌマチは容赦しない。
「砂隠れセキと霧隠れ鉄丸、始め!」
「お、おい、あいつはなにができるんだ?」
オレはステージを見上げながら水波に尋ねた。
「クナイの腕もいいし、術も使える。けど、あのコが他の忍を殺すところは見たことない」
近くにいたら一喝してるところだ「甘ェ!」って。
ジャシン教にはふさわしくねーな。
鉄丸が鉄球を振り回し、セキを潰そうとする。
セキは「うわぁ」「ひい」と叫びながらも避けていった。
「逃げんなチビィ!!」
鉄球の鎖が波打ち、
「うわあ!!」
セキを弾いた。
「セキ!!」
水波は怪我した体で立ち上がろうとする。
鉄丸はセキに近づき、見下ろした。
ふと、片眉が吊り上がる。
「ガキ、なにがおかしい?」
「イヒッ。やっぱ…、やっぱ弱い。おまえは、ボクより弱い」
.To be continued