悪党共を、紹介しましょう。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
元気よく入ってきたのは、オレンジ髪の大柄の男だ。
その後ろには、眼鏡をかけた男とサングラスをかけた男もいる。
「うわ、グッドタイミング」と神崎。
「そいつがもうひとりの幹部・東条だ。後ろの2人はその部下の陣野と相沢」
「でけーな」
姫川がそう呟くと、姫川の存在に気付いた東条は「お、なんだこいつは、喧嘩していいのか?」とコブシを鳴らした。
姫川は反射的にデスクの上にあった自由の女神の小さな銅像をつかんで対抗しようとする。
神崎はすぐさま2人の間に割って入って止めた。
「やめろやめろっ。東条、初対面にそりゃねーだろ。暴漢か。姫川、こいつは根っからの喧嘩好きなだけで、さっきのはほんの挨拶だ。本気にしてんじゃねーよ」
「そいつは?」
陣野が尋ねると、神崎は「新入りの姫川だ」と答える。
東条は「あ」と思い出したような声を出し、紙袋を手に、次々とメンバーに袋の中身を渡していった。
「そうだそうだ、おまえらに土産があったんだ。中国の」
男鹿には目つきの悪いオオカミの人形、古市にはアホっぽい顔をしたアヒルの人形、邦枝と大森達には色違いのウサギの人形、神崎にはつぶらな瞳のヒヨコの人形、夏目にはキザったらしいキツネの人形、城山にはおさげ髪のパンダの人形だ。
どれもゲーセンでとったかのようなカワイイ人形ばかり。
ふと人形についているタグを見ると、“Made in Japan”と書かれてある。
(((((逆輸入…っっ!!!)))))
心の中でつっこむ。
その途中、東条は今度は「あ」と、しまった、というような顔をし、しょんぼりと肩を落としながら姫川に近づく。
「すまん…。新入りが来るとは聞いてなくて…。……オレの自分土産をやろう。かおる、庄次」
「これ、あげるんですか?」
陣野と相沢は一度部屋を出て、廊下に置いていた等身大のデフォルメ虎人形を持ち込んだ。
「特大サイズっ!!?」
色々露骨な自分土産に古市は思わずつっこむ。
「可愛がってやってくれ」
目を潤ませ、未練がましそうに虎人形を姫川に差し出した。
「無理すんな。かさばるわ」
冷静に手で制してつっこんで断る姫川。
その言葉を期待していたのか、東条は「おかえりトラ吉」と嬉しそうに虎人形を抱きしめる。
「……………」
その背中を呆れた眼差しで見つめていた姫川は、男鹿の方に顔を向け、「で、これで全員?」と尋ね、男鹿は「またおいおい紹介する」と肩を竦めた。
「マフィアっつーわりには少ねぇな」
「シマのチンピラ共もオレ達の仲間入りを志願してるが、その馬鹿ボスがことごとく断ってんだよ」
「おかげで人手不足っス」
神崎に続き、古市は肩を落として苦笑しながら言った。
「仕事は?」
その問いに男鹿が答える。
「色々と手を出してるぜ。…この地区では自警団のマネごともしてるし、他の小さな店も経営してるし…。おまえが知りたい裏の方は、ちょっとした密売を…。それと、おエライさんの人には言えない頼み事とか聞いたりな。この“魔境”じゃ、ボロ儲けだ」
“魔境”。
それが裏町の総称だ。
治安は、表の警官が手出しできないほど最悪なもので、イシヤマファミリーは魔境の一区画を自分たちの縄張りとしているが、時には仕事のために他のファミリーの地に足を踏み込むことがあり、騒動を起こすこともある。
「ふわふわやってるってことか…」
「……姫川、早速だ。これから行く仕事に、おまえもついてこい」
.