悪党も、爆弾にはご用心。
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男鹿のアジトへ行く数時間前、出向こうとしていた矢先、赤星のアジトである廃ビルに、奈須が鬼束と亀山を引き連れてやってきた。
ライブの火薬演出用の爆発物をオーダーするためだ。
武器はついでの買い物だった。
ちょうど出かけようとしていた赤星は、急な来訪に当然顔をしかめた。
今日は幹部の灰沢と茂盛が出払っているので奈須の相手をするものは誰もいない。
留守番のために部下も数人アジトに残していくつもりだが、自分と幹部以外特注の応対はできないからだ。
「また来い」と追い返そうとする赤星だったが、奈須達は「今日しか空いてる日がない」、「次のライブがすぐそこまで迫っている」と引かず、仕方なく戻ってくるまで店番してもらうことになった。
赤星が出かけてから数分後、店番をしていた奈須の腹の虫が鳴った。
「店の売りもんや人のモンに手をつけるな」、と忠告した赤星の言葉を思い出しながらも、何かないかとひとりアジトをウロウロしていた。
そこで、赤星の部屋にあるテーブルの上に置かれた菓子箱を見つけた。
少しくらいつまんでもいいだろうと悪い笑みを浮かべた奈須は、鬼束達にも配ってやろうと菓子箱の側面を両手でつかんで持ち上げた時だ。
“ロック解除。起動します”
箱からアナウンスが聞こえ、奈須の身動きが止まる。確認しようとテーブルに戻そうとすると、再びアナウンスが聞こえた。
“手を離すと、爆発します”
*****
「こんな目に遭ったっちゃ~っっ」
奈須の口から経緯を聞いていた男鹿達は、絶句するしかなかった。
「人の部屋入るからそういうことになるんだろうが!!」と赤星。
「そんな危険物、うちに持ち込むんじゃねえよ!!」と男鹿。
「帰れ!!」と神崎。
「トラブルメーカー」と陣野。
「みんな酷いっちゃ!! 教訓になったし、身に染みたから早く解除してほしいナリ!!」
「「こっち向けんなっ!!」」
いつ爆発するかわからない危険物を突き付けられ、赤星と男鹿は思わず後ずさる。
「つーか、この箱、オレ知らねえぞ」
赤星の部屋にあったというのに、当の赤星に見覚えがなかった。
奈須は「は!?」と素っ頓狂な声を上げ、赤星はおそるおそる警戒しながら奈須のまわりをぐるりと周り、菓子箱をまじまじと見る。
「手を離したら爆発するってことは…、感知タイプの爆弾か。持ち上げたりすると自動的に起動する仕組みだな。すぐに起爆するタイプじゃなくてよかった。脅迫用か?」
日頃取り扱っているだけに、爆発物については詳しい赤星は冷静に解説した。
だが、奈須が手にしている作った覚えもなければ見覚えのない菓子箱の扱いには頭を悩ませた。
外側は完全に菓子箱にしか見えないが、問題は中身だ。
時限式なのか、火薬の量が多いのか少ないのかもわからず、かと言って無闇に中を開けることもできない。
蓋を開けた瞬間に爆発ということもあり得るからだ。
「どこでどう解除していいのか…」
模索していると、まるでその動きが見えているかのようにアナウンスが警告する。
“蓋を開けても爆発します”
「く…っ」
赤星は菓子箱に伸ばそうとしていた手を引っ込めた。
「相沢、車を出すぞ。被害が少なそうな土地に放り出そう」
「了解」
陣野の案に乗って車を取りに行こうとする相沢。
「追い出そうとしたら容赦なく手ェ放すぞ!!」
諦めかける面子に全力で脅す奈須。
見捨てられるくらいなら道連れにする覚悟だ。
“手を放したら死にます”
「いちいちアナウンス流すなっ!!」
未だに脅し続けるアナウンスに奈須は歯を剥く。
投げつけてやりたいところだが理性が押しとどめた。
「蓋がダメなら…、側面から開けたらどうだ?」
小さく挙手して案を出したのは姫川だ。
「……………」
赤星は難しい顔をしたが、それしか方法はないのだろう。
意を決し、男鹿にナイフを貸してもらって再び箱に近づいた。
「ちょっと待った!!」
「! な、なんだよ…」
いきなり声を上げた奈須に赤星と男鹿達の心臓が跳ね、思わずソファーの後ろに隠れる。
「……トイレ行きたいナリ…」
奈須の表情は真剣だ。
「……先に行ってこい…。……!!」
男鹿はドアを指さすが、そこであることに気付く。
奈須はもじもじとしながら口にした。
「この手じゃ…、ズボンが…」
ズボンが下げられないどころか、用を足せない。
「解除するまで待って!」
古市は奈須をガマンさせようとするが、奈須は内股になって首を横に振った。
「ムリムリムリ!! 実はけっこう限界がそこまで来てるぅ…!!」
「漏らしたら埋めんぞ!!」
男鹿は耐えさせようとするが、奈須は今にも漏れそうだと切羽詰まった表情を浮かべている。
「おまえらぁ!!」
男鹿の合図で、この場にいる全員が拳を構えた。
「「「「「ジャン・ケ…!!」」」」」
ジャンケンでトイレ同行係を決めようとした瞬間、ドアが勢いよく開かれた。
「奈須! 爆弾の方はどうにかなったのか!?」
「みさおっちゃーん!」
奈須が心配で駆けつけてきた鬼束だ。
((((保護者来たぁ!!!))))
ジャンケンのコブシはガッツポーズに切り替わる。
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