悪党だって、家出します。
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リビングの貼り紙を確認した神崎は、ひとり、男鹿の部屋へと向かった。
アジト中がざわついているのに、肝心のボスが姿を見せていなかったからだ。
男鹿の部屋をノックをすると、しばらくして古市が顔を出す。
「お…、おはようございます」
その場の服をつかんで着替えたようで、男鹿の寝間着を着ていた。
あえてつっこまず、神崎は部屋の中を覗こうとする。
「ボスは?」
「まだ寝てます」
古市は「ははは」と赤面しながら苦笑し、起こさないように声を潜めて部屋を出ると、隠すようにドアを閉めた。
寝ているというより、精根尽きて起き上がることもできないのだ。
古市は神崎から姫川が家出したことを聞くと、驚いた顔をして尋ねる。
「…捜します?」
「当たり前だ。オレの気が済まねえ」
神崎は青筋を浮かばせながら答える。
「そのようですね」
背中にバズーカ砲を携えたり、腰に刀を差したりと物騒なフル装備だ。
「男鹿が起きたらそう伝えてくれ」
「はい。…あの」
「あ?」
早速捜索に出かけようとしたとき、古市が躊躇うように声をかけて呼び止める。
「その…、姫川先輩も、薬…打たれたじゃないですか…。………大丈夫だったんですか?」
昨夜の淫乱な自身を思い出した古市は、耳まで真っ赤にする。
「……………」
神崎の脳に昨夜のことがフラッシュバックする。
そして、初めての痛みも。
そもそも古市が誤って麻酔を打ち込まなければ昨夜の出来事はなかったはずだ。
取り出した拳銃を、ごり…、と古市の頬に擦り付ける。
「古市…」
神崎は笑顔だ。
「!!」
「気にするな(2度とその話題持ち出すなコロすぞ)」
神崎の背後に浮かぶ般若が代わりに言葉の裏側を翻訳した気がした。
いつ引き金を引いてもおかしくない殺気である。
「す…、すみません…っ」
古市は小さく両手を挙げて謝った。
「さ、捜すってどうやって? 鷹宮に頼むんですか?」
「あいつんところはバカ高いからな。まずは近場を当たってからだ。鷹宮に頼むのは本当に最後の手段」
その時、神崎のケータイが着信を知らせた。
「「!」」
画面を見ると、“なすび”と表示されていた。
うんざりした顔をしながら電話に出る。
「何だ?」
“おっはー!! はじめっちゃん!! 今日のなすび占い!! はじめっちゃんの今日の運勢は…”
聞く前に神崎は通話を切った。
少しして、また奈須から電話がかかってくる。
神崎はすぐに電話に出てから忠告した。
「次は電源ごと切るぞ」
“手短に話すナリ”
一度間を置いて奈須は切り出す。
“おたくの姫っちゃん、来てるっちゃよ”
「え」
((早っ!!))
あっさりと発見され、神崎と古市は呆気にとられた。
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