悪党共を、救出します。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「古市…、古市…!」
薄暗い部屋の中、古市はその声に起こされる。
「う…」
目覚めとともに身体の痛みも覚醒し、呻きながら目を開けると、こちらを覗き込む姫川の顔があった。
リーゼントはそのままだが、色眼鏡は片方のレンズだけヒビがあり、肌には生々しい痣がある。
見ているだけ痛々しいが、古市も人の事が言えなかった。
片側の目だけ麻痺したようにうまく開かない。
目を殴られたからだ。
「姫川…先輩……」
身を起こすのもつらい。
うまく動けない理由はそれだけないことはすぐにわかった。
姫川と古市は両手を後ろに縛られ、両足も動けないようにきつくロープで縛られていた。
ラミアを逃がしたあと、古市と姫川は必死の抵抗を試みたが、相手の数も多く、銃を保持していたため取り囲むように突き付けられれば太刀打ちできるはずがなかった。
最後は背後からスタンガンで気絶させられてしまい、車に押し込まれてこの場所に運ばれたわけだ。
「こ…こは…?」
「表か、裏かはわからねえ…、ただ…」
先に起きていた姫川が説明しようとしたが、その前に現状を把握しようと古市は寝返りを打ち、視界に飛び込んできたものに目を剥く。
ゴロン…、と生首のようなものと目が合った。
「ギャァア――――ッッ!!!」
古市の動きは縛られても素早かった。
芋虫のような動きで壁側へと逃げる。
「うるせぇな! なんだその無駄な逃走力は!;」
「だだだだって…、く…、首…っっ」
「よく見ろ」
呆れた視線を向け、姫川は古市が見た生首をアゴで指す。
「…!」
肌どころか、髪も閉ざされた唇も両目もあるべきはずの色はなく、その正体に古市は徐々に冷静さを取り戻す。
「ま…、マネキン…人形…?」
辺りを見回すと、薄暗くて気付かなかったが、大量の全身型のマネキン人形がそこら中に転がっていた。
腕、脚、首、ボディ、ほとんどがバラバラにされたものだ。
中には、五体満足で放置されたものもあった。
大部屋なのに、姫川と古市にとっては狭く、息苦しい空間だ。
バラバラ死体の山のような不気味な光景に古市は喉を鳴らす。
「な…、なんで…こんなに…。マネキン工場か…?」
呟きながら姫川の傍に戻った。
「……本当に、ただのマネキン工場なのかねぇ…」
姫川はもう一度辺りを見回す。
マネキン部屋の奥にドアを見つけた。
鍵が開けられている可能性はまずないだろう。
「……どうやって出るか…」
ようやく、今の現状にふさわしい疑問が口から出た。
.