暮らし始めた2人は?
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オレだってまだ10代後半の健全な男子だ。
もう高校生じゃないけど、盛りは健在。
しかもそれは唐突にやってくる。
別に喧嘩したわけじゃねえが、あいつと部屋は別々で、オレは今ひとりでベッドに潜り込んでいた。
目を開け、パチパチと瞬きして薄暗い部屋を見回す。
たった3日間ヤッてないだけなのに、あいつに改造されたせいだろうか。
ヤッてる時のあいつの顔とかもう何度も見てんのに、考えただけでムラムラする。
ひとりで片付けようかと思い、手を伸ばしたが、途中で止める。
あいつがやってることをオレもすればいいだけの話じゃねえか。
そう、夜這いだ。
オレが疲れていようが関係なしに奇襲をしかけてくるあの行為だ。
オレが仕掛けて文句言ったら殺す。
縛るっていう手もありだな、うん。
早速とばかりにオレは身を起こし、足音を忍ばせてあいつの部屋に向かった。
自室のドアを開け閉めするだけでも緊張した。
ガキの頃、夜中にこっそりお菓子を盗みに台所まで行ったことを思い出す。
あんな気持ちだ。
あいつの部屋はすぐ隣。
ドアに耳を澄まし、中の静けさを確認。
それからドアノブをゆっくりと回し、同じくドアも少しずつゆっくりと開く。
あいついつもこんなことやってんのか。
なるほど、興奮する。
ようやく半分まで開いたドアから中を覗く。
薄暗い部屋の中、ひとり分に膨らんだベッドを見た。
毛布から顔出して仰向けに眠っている姫川を発見。
侵入に成功したオレだが気は抜けない。
まだドアを閉める作業が残っている。
できるだけ気を遣い、入る時よりさらにゆっくりとドアを閉めた。
ドアノブを握る手がこれ以上進まないことを確認してから振り返り、ドキドキしながらベッド脇に近づいて眠っている姫川の顔を窺う。
人形のようなキレイな顔立ち。
耳元を近づけると、微かに寝息が聞こえる。
オレはそろそろと毛布を下へずらし、姫川の腰のところまで持ってきた。
さて、問題はここからだ。
こいつをどう料理してくれようか。
どこで起きるか。
試しにオレは姫川の頬や額にキスしてみた。
…まったく起きない。
大胆に唇に吸いついてみるが、やっぱり起きない。
息苦しくなかったのか。
ならばとベッドに上がり、またがってみた。
こいつよく今まで寝首かかれなかったな。
オレは寝巻のボタンに手をかけ、もたもたとした動作でひとつずつプチプチと外していく。
開襟され、晒される胴体に思わず喉を鳴らした。
そこでオレは固まった。
なんでこいつ起きねえんだよ!
このまま調子に乗ってオレが上になろうか。
「続きは?」
「ひぃっ!?」
いつまで経っても手を出してこないオレに待ちくたびれたのか、タヌキ寝入りしていたらしい姫川は右目だけパチッと開けてオレを見上げた。
緊張中だったオレは短く問われた声に体を大きく跳ね、妙に甲高い声が出てしまった。
「いつから起きてた!?」
「んー…、おまえがなんかドア閉めるのに奮闘してるとこで…」
始めから起きていたわけではないのか、眠そうな声だ。
オレそんなに時間かけてやってたっけ。
「初めての夜這いにしてはまあまあだな。あとは躊躇わず襲ってくれたら文句なしだ」
「うっせーよ! 性格悪ィなっ!」
「あと出来るだけ息は抑えろ。はぁはぁ言ってた」
「言うなボケッ!!」
すっかり興奮も冷めたオレは姫川のベッドから降りて、頬を膨らませたまま自室へと戻り、ベッドへダイブした。
悔しい思いを抱えながらも眠気が差しかかった時だ。
背中が妙に重く感じ、何事かと肩越しに振り返ったら不意に唇を奪われた。
背中に圧し掛かってきたそいつはオレの耳元に囁く。
「正しい夜這いのやり方、じっくりと教えてやるからな」
頼んだ覚えはない。
そう言いたかったが再び唇を奪われ、宣言された通りじっくりと時間をかけ、オレの熱を上げて上げて、思考も体もとろっとろにしていく。
まさに一流コック。
生きのいい魚を前に包丁を握ることさえ戸惑っている見習い料理人のようなオレとは断然違う。
けれど、そこで折れるオレではない。
見てろよ、いつか絶対リベンジしてやるからな。
だから今は煮るなり焼くなり好きにしろ。
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