嫁の実家にお泊まりです。
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「「ギックリ腰ィ!!?」」
神崎の実家に到着し、父親の自室に通されてそれを聞かされた神崎と姫川の声が重なった。
「すまん…」
姫川にも、仕事を休ませるほど心配させてしまったことを反省し、部下に支えられながらベッドから身を起こした父親は、傍らで座っている2人に頭を下げた。
「原因は?」
「……二葉ちゃんと…、ツイスターゲームしてたら…」
『じじーっ、次は右手を青だ!』
『はははっ、青か。すぐそこに…』
グキッ!!
『あ゛お゛おおおおおおっ!!!』
『ボス!』
『大変だ!! ボスがああああ!!』
簡単に説明すると、昨日の流れではそんなカンジだ。
慌てた部下は神崎に報告したが、「ぎっくり腰で」とつけるのをうっかり忘れてしまったのだ。
事情を聞いた姫川と神崎は顔に影をつくり、沈黙した。
(天下の恵林気会組長が、今時ツイスターゲーム…)
(昨日のオレらのムード返せクソ親父…)
「ホント…、すまん…」
2人の複雑な空気にあてられた父親はもう1度謝った。
「だって、二葉ちゃんが珍しく遊ぼうって…。デレ期だったんだ…」
「そりゃあ調子に乗っちゃいますよね。わかります」
姫川もうんうんと頷く。
「わかるな。誰のこと言ってんだ。親父もいい年なんだから孫の無茶な遊びに付き合うのもほどほどにしとけよ?」
「……姫川のボウズ、少し外してくれるか?」
「! …はい」
2人きりで話がしたいのだろう。
察した姫川はすっと立ち上がり、神崎の視線に見送られながら部屋を出た。
「!!;」
障子を閉めた途端、姫川は大柄のやくざに肩をつかまれた。
サングラスをかけ、顔に無数の傷痕をつけた男だ。
子供なら一目見ただけでビビってチビるだろう。
「え…とぉ…」
さすがに姫川も顔を青くした。
ただそこに立っているだけなら小さく驚くだけで済んだのだが、相手は自分の肩をつかんで包丁を向けてくるのだ。
「姫川のボウズ、ちょっとツラぁ貸せ」
(ツラぁ剥かれる…)
まだ頷いてさえいないのに、硬直した姫川は引きずられるようにどこかへ連れて行かれた。
一方神崎はそんな姫川の危機を感知することなく、父親と向き合う。
仕事以外で2人きりになるのは久しぶりだった。
「…ワシが本当に病気かなにかで倒れてしまったとしても、一が気にすることじゃない」
「……………」
「おまえが決めた道だ。もうワシはおまえに「家を継げ」とは言わん。好きにすればいい」
「…好きにするさ。…けど、心配くらいさせてくれよ。オレはてめーの倅なんだからよ…、親父」
「一…、今日は泊まっていけ。姫川のボウズも一緒に…」
「…ああ。そうする」
自分の息子の未来を曲げて最初は嫌悪されていたが、最近では姫川の様子などを尋ねるようになり、こうして同じ屋根の下に留まらせてくれるほど好感を抱いてくれたことを、神崎は嬉しく思った。
「じじ―――っ!!」
突然現れた二葉は父親の背中にドロップキックをかまし、グキッと生々しい音が聞こえた。
「の゛おおおおおっ!!」
「親父ぃっ!」
優しい面持ちだった父親は途端に痛みに顔を歪め、その場に倒れた。
神崎は二葉の両脇を抱えて離す。
「遊べ―――っ!」
「そのままじいちゃん殺す気かっ!」
「あああ、二葉ちゃんのデレ期…。ワシ、幸せで死にそ…」
「死ぬから!! マジで!!」
ぎっくり腰になったとはいえこの元気だ。
当分健康の方も問題ないだろう。
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