嫁の実家にお泊まりです。
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その日も、仕事が終わって帰ってきて、2人で夕食を食べてテレビを見て、ゲームをして、風呂に入って、寝る前にムチャクチャに絡み合っていた。
同棲生活を半年以上も過ごしているというのに、途中で熱も冷めることなく求め合う2人。
その着信は、行為が終わってから部屋に鳴り響いた。
神崎のケータイからだ。
着信先は実家。
時間は深夜0時を過ぎていたので、珍しいことだった。
なにか仕事に取りこぼしでもあったか。
それとも予定の変更か。
どちらにしても、眠気に包まれつつある頭でそれを手に取り、隣に姫川が横になっていることにもかまわず耳に押し当てた。
「どうした?」
電話の相手は、父親の部下からだった。
「―――!!」
電話越しの慌てた声に、眠そうに細めていた目が、大きく見開いた。
「親父が倒れた!!?」
「!」
それを聞いた姫川はすぐに身を起こした。
「……ああ。…わかった…。……明日、すぐそっちに向かう…」
驚いたわりに焦った様子もなく、神崎は通話を切った。
「……親父さん、大丈夫なのか…? 容体は?」
不安げに尋ねる姫川に、枕元にケータイを置いた神崎は首を横に振る。
「わかんねえ…。…さっき、部下のひとりが自室で倒れてるの…発見したから…」
「神崎…」
「とにかく…、オレ明日早いから寝るわ…」
そう言って神崎が寝転がろうとするが、姫川はその両肩をつかんで止める。
「神崎!」
「…!」
真剣な眼差しを向けられ、神崎は自分の額に嫌な汗が浮かぶのを感じた。
途端に、心臓が焦るように早鐘を打ち始める。
「……っ」
耐えきれなくなって、姫川の胸に額を押しつけた。
姫川は微かに震えだしたその体を、あやすように優しく抱きしめる。
「オレが組を継がないっつったから…、その分…、親父に苦労かけちまって…。親父もいい年なのに…」
父親が倒れたのは自分のせいだと、罪悪に苛まれた。
苦しげに言う神崎に、姫川はその頬を両手でつかんで目を合わせる。
「神崎…、明日、オレも行く」
「けど…、おまえも仕事が…っ」
「急な話だけど、うちの親父に頼んで休みをもらってくる…。たぶん向こうも納得してくれるだろ。それに今、おまえの親父はオレの親父でもあるんだ」
「ん…」
神崎が目を伏せて頷いたのを確認したあと、姫川は微笑を浮かべ、先に寝転がって毛布を開けた。
「おいで」
「……………」
神崎は大人しく姫川のすぐ傍に寝転がり、その胸に顔を埋めて眠りについた。
姫川がいなければ、今頃不安に押しつぶされていただろう。
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