小さなお客様。
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梅雨の季節、土砂降りの雨が降り続いて2日目だ。
せっかくの休日だというのに、神崎は家の仕事で遠方の地にいる。
3日の出張だったが、今晩帰ってくるらしい。
オレはひとり、ダイニングでテレビを見ながらコーヒーを飲み、神崎の帰りを待っていた。
時刻は13時。
ただでさえ広い部屋が余計にだだっ広く感じる。
昔は平気だった静けさも今では妙に落ち着かない。
あちらの物騒な仕事柄、神崎の心配せずにもいられない。
あいつ、対立してる組の鉄砲玉に撃たれてやしないだろうか。
ちょうど番組がヤクザドラマになって慌てて切り替えた。
オレの陰毛でもお守りにしてもたせとけばよかっただろうか。
あ、陰毛って玉避けになるんだぜ。
ニュース番組が始まった時だ。
ピンポーン、と玄関のインターフォンが鳴った。
「?」
いきなり家の玄関が鳴るのはおかしい。
宅配便業者なら、まず、マンションの玄関のインターフォンを鳴らすはずだ。
オレはコーヒーを目の前のテーブルに置いて立ち上がり、テレビをつけっぱなしにしたまま玄関へと向かった。
覗き穴から相手を確認するが、その相手がいない。
ドアの鍵を開け、そっと開いて片廊下を見る。
やはり誰もいない。
「イタズラか?」
「おい」
それは下から聞こえた。
見下ろすと、黄色の雨合羽を着た少女が、黄色の傘を手にこちらを見上げていた。
「えーと…」
会ったことあるぞ、こいつ。
インターフォンは傘を伸ばして鳴らしたようだ。
持っている傘の先端を突きつけられ、睨まれた。
「二葉様が遊びに来てやったぞ」
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