捜しものはなんですか?
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いつまでそうしていただろうか。
互いの口が離れた頃には、オレは茫然としていた。
「神崎…」
姫川はポケットからあのオルゴールを取り出し、蓋を開けてなにかを取り出した。
オレが確認する前に、オレの手をとって左薬指にそれをはめる。
「……え?」
左薬指に、銀色の指輪が光った。
姫川も、自分の薬指にはめ、金色の指輪を見せつける。
驚いているオレの耳元に、姫川は囁いた。
「結婚してくれ」
「……~~~~ッ!!!」
キスで十分火照ったはずなのに、まだまだオレの体温は上昇する。
湯気が出てもおかしくない。
「けけけ、け…っっっこ…っっ!!?」
混乱しているオレを見て、姫川は噴き出し、オレの頭を撫でる。
「前から準備はしてたんだけど、機会がなくてな」
そう言う姫川の顔も赤かった。
「学生の頃、冗談でも言ってたじゃねーか。オレ達が結婚するんだったら、婚約指輪は金と銀がいいな、ってさ…」
覚えてますとも。
宝石店のショーウィンドウを眺めながらそんなこと言ったことを。
お互い金髪と銀髪だし、それに因んでってことで…。
そんな恥ずかしい思い出をこいつは…!!
「そ…、そのオルゴールは?」
「隠すものがなかったからな。コレ買った時、その店のおねーさんが「これに隠してみては?」とくれた。あ、心配するな。その時リーゼントだった」
リーゼントで外に出るの、オレが嫌がってたからな。
「こんな大切なものおまえに捨てられたってことがショックだったからな…。…見つけ出してきてくれたのも、神崎でよかった…」
「お…、オレだって…、知ってたらそんな…」
「―――で、返事を聞きたいんだけどよ。イエス? ノー?」
ずい、と顔を近づけられたが、オレは目を逸らさない。
「……バッカじゃねーの」
今までオレの大事なモンほとんどてめーにやったんだ。
キスも、体も、人生も。
オレは腕を伸ばし、姫川の首に絡みついた。
「イエスだ。…オレごと全部持ってけよ。代わりに、姫川の全部、オレにくれ」
「……やるよ。好きなだけ」
オレ達はまたキスをして、裸になって、メシも忘れて濡れた体のままベッドへ向かった。
婚約記念とか言って、普段より熱く、優しく、オレ達はひとつになった。
手を重ね合わせ、求めるかぎり求める。
そんな夜を過ごし、終わった頃には、オレはまどろみの中にいた。
姫川はオルゴールのネジをまわし、枕元に置いた。
今まで、指輪が引っかかって、ネジが回らなかったようだ。
聴こえてきたのは…、なんだっけ、この曲…。
だいぶ前に姫川と見た映画で聞いたことがある。
なんだっけ。
英語はわからない。
「…“ミス・ア・シング”」
口に出てしまったのか、姫川が答えてくれる。
その音に包まれ、姫川の腕の中でオレは深い眠りへと誘われた。
.To be continued