捜しものはなんですか?
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「バカヤロウ!!!」
耳をつんざくような姫川の罵声。
ビリビリと、オレの脳に響き渡る。
え、なに怒ってんだ。
そんなに大事なものだったのか。
アレが。
姫川の罵声を浴びせられる1日前、オレは部屋の片づけをしていた。
もちろん、姫川の部屋もだ。
ちゃんと出かける前に本人には許可だってとった。
いらない服や家具など。
昨日から言ってたから、いらない服とかは姫川自身が“いらないもの”と書かれた箱に入れといてくれた。
「小物類は下の引き出しに全部入れといたから」
言われた通り、机の引き出しの中の小物類をゴミ袋に入れていく。
数はそれほどだ。
時間がかかるものじゃなかった。
そこで、オレの好奇心が動いてしまった。
鍵は上の引き出しの中を見たことがなかったため、これはチャンスだとばかりに開けてしまった。
鍵の隠し場所はわかっていた。
姫川の部屋で一夜を明かしたあと、あいつはオレがまた寝てるものだと思ってベッドから下りて引き出しを開けたんだ。
鍵は本棚の後ろに隠されていた。
また面倒なところに。
よほど見られたくないものなのだろう。
どんな後ろめたいものを隠しているのか。
オレは本棚の後ろから鍵を取り出し、上の引き出しを開けた。
「…!」
それほど時間も経ってないのに、懐かしいものばかり入ってた。
高校の頃に使っていた古い携帯や、アクセサリー、スペアのグラサン。
オレがプレゼントした小物まで。
「?」
奥の方になにか入ってある。
手を突っ込んで取り出すと、ガラス製の小さなオルゴールだ。
あの姫川がオルゴールって、失礼だが、似合わない。
誰かにもらったものだろうか。
壊れているのか、横についた金のネジを回しても音楽は流れない。
というか、まわせなかった。
「……………」
高校の頃も見覚えがなかった。
オレと付き合う前に女からもらったものかもしれない。
見た目からして、女が好みそうな外装だ。
今思えば嫉妬だ。
でなければ、ゴミ袋に捨てるようなことはしない。
けれど、まさか一発でバレるとは思わねえだろ。
楽しい食事のあとの剣幕。
問い詰められ、正直の粗大ゴミと一緒に出したと答えたらあの罵声だ。
「買い直せばいいだろ!?」
悪いのはオレだってことはわかってる。
だが、オレとは無関係のものを今まで隠されていたのは腹が立った。
だから、思わずカッとなって言い返してしまった。
姫川なら同じものを買い直すのはお手の物だろう。
「アレじゃないとダメなんだよ!!」
なのに、姫川はそう返した。
「誰からもらったモンだ!?」
「そんなこと言う必要があるのか!?」
久々に、罵り合いはしばらく続いた。
結局、その日は各々の部屋で夜を過ごした。
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