痩せたければ動きましょう。
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「なーつーめー」
「わぁ。姫ちゃん」
数日後、姫川は夏目の前に現れ、胸倉をつかまれた。
まさか大学の前で待ち伏せされているとは思いもしなかった夏目は困惑している。
「どーしたの?」
なにやら今にも殺されかねない殺気を姫川から感じ取った。
「どうしたもこうしたも…、てめーが神崎にいらねえこと言ったって城山から聞いたぞ…!」
「いらないこと…?」
夏目は困った笑みを浮かべ、首を傾げる。
姫川は唸るように言った。
「とぼけんじゃねえ! 神崎を強制的にダイエットさせたのはてめえだってことは耳に入ってんだよ!」
(城ちゃん、姫ちゃんになんて説明したの)
「いや…、オレはただ「太ったね」って何気なく言っただけで…」
「その一言で、神崎の奴、無理なダイエット始めちまったんだぞ!」
神崎がダイエットを始めて1週間が経過した。
いつまで経っても変わらない体重に、神崎はついに絶食を始め、その3日後、ついに仕事中に倒れてしまった。
姫川の薄々気付いていたものが確信に変わった。
神崎がダイエットしている、と。
「オレがDVしてると、あっちの親御さんに勘違いされてんだぞ!」
「だからそんなに殺気立ってんの?」
それもあるが、こちらはダイエットしているわけではないのに、1週間も神崎を食べていないのも原因の1つだ。
弱々しく色香漂う神崎になにもするなと言うのは拷問と同じだ。
「夏目、おまえ今すぐ神崎に会って、「神崎君すごく痩せたね」って言え。いくらだ? いくらで言う?」
「欲求不満のあまり、昔の姫ちゃんに戻ってるよ」
夏目はまず姫川を落ち着かせることにした。
そろそろ首の締まりも苦しくなってきたので。
「確かにそんなことを言ったのは謝るよ。でも…、オレが言ったの、悪口じゃないからね」
「「太った」が褒め言葉の類に入るのかよ」
「だから…―――」
神崎にも言ったはずなのに、ショックを受けていたため聞いていなかったのだろう。
夏目は姫川に説明した。
それを聞いた姫川はようやく冷静さを取り戻したようだ。
「誤解が解けてよかった」と夏目は笑みを浮かべ、姫川に手を振る。
「あとは姫ちゃんに任せるから。神崎君によろしくね」
姫川は追わず、その背中を見送った。
帰宅した姫川は神崎の部屋を訪れる。
今頃体を休ませているかと思えば、なにやら大きな緑のボールと戯れているように見えた。
ボールの上に座ったまま前屈みになったり、片足ずつ上げたり、バウンドしてみたり。
「…なにソレ」
「ん? バランスボール。城山にもらった」
「おまえ、懲りずにまだダイエットしてんのか。今日はムリせず休めって言ったろ」
「さっきまたメシ食っちまったから、エックスサイズだ!」
「エクササイズな」
服装も、Tシャツにスパッツだ。
さて、どうやって説得したものかと姫川が頭を抱えているに対し、神崎は体勢を変えた。
ボールの上でうつ伏せになり、腕を動かして腹の下でボールを上下に転がす。
「…!」
そのアングルがヤバかった。
向けられた尻が姫川を誘うように動いている。
スパッツなので尻の曲線も丸わかりだ。ごくりと唾を飲み込み、1週間分の欲求に火が点く。
「うわっ。なんだ!?」
いきなり右の足首をつかまれ、動きを止められてしまい、神崎は何事かと肩越しに振り返った。
「バランスボールだっけ? これの正しい使い方、教えてやるよ」
「は!?」
その目を見た神崎はゾクッとした。
飢えた獣の目。
「ちょ…、待て…! アッ!」
逃れようにも右足がつかまれたままだ。
姫川は空いた手でスパッツをずらし、露わになった肌にキスを落としてから、行為に走った。
全力で。
*****
バランスボールプレイをしたあとは、両者、どちらも床に伏せていた。
神崎は尻の痛みで起き上がることすらままならない。
「絶対…使い方…違う…」
「けど、ちょっとは痩せたんじゃねえか?」
「……………」
神崎は自分の腹を撫でてみる。
その手の上に姫川は自分の手を重ねた。
神崎が右に顔を向けると、姫川は優しい笑みを向ける。
「オレはこれぐらいがちょうどいいと思ってんだけど。それに、元から太りやすい体質でもねえだろ。ヨーグルッチもあるし」
「…けど、太ったらしいし…」
「バーカ」
姫川は人差し指で神崎の腹をつついた。
「幸せ太りっつーんだよ」
.To be continued