もうひとつの帰る家です。
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高校を卒業したオレと姫川は同棲を始めることとなった。
場所は馴染みの石矢魔町のとあるマンションだ。
部屋は控えめに501号室。
別に姫川のマンションで同棲を始めてよかったが、オレ達も立派な社会人なわけで、家賃も自分で払うことにした。
位置は姫川とオレの家の中心ってところか。
姫川はオレより早く話をつけたらしい。
その話は自分達の荷物を運びながらしていた。
「オレも親父を手伝うなら、OKってことで」
「…オレもおまえの家に出向いた方がよかったか?」
「オレの親父はあちこち移動してるから、会うヒマないって。オレだって、移動しながら話つけてたんだからな」
「あの2週間休みはそれか」
「大変だったぜ。やっぱり1回でOKってわけにはいかなかったから、ヘリや新幹線で追いかけたり、先回りしたり…」
家でずっと冷戦状態だったオレとは違い、壮絶だな。
父をたずねて…ってやつか。
「これおまえの部屋に運んどけばいいか?」
「おう」
オレは姫川の部屋に移動し、持っていたダンボールを下ろした。
姫川の部屋の床には他のダンボールが無造作に置かれていた。
「!」
部屋の隅にある小さなダンボール。
それには“姫川の。絶対開けるな。見たらブッ殺す!!”と太い赤ペンで書かれていた。
「……………」
床のダンボール箱をまたぎながらそれに近づき、背後を確認してからガムテープを引き剥がし、開けてみる。
悪いな。
これも人の性だ、姫川。
まさか、エロ本か、それともDVD?
そんなものが出てきたら、躊躇わずベランダから豪快に投げ捨てよう。
中を見ると、雑貨ものばかりだ。
「あ…」
ヨーグルッチのパックが出てきた。
中身は入ってない。
どうしてこんなものが、とは思ったが、日付を見て「あ」とまたこぼしてしまう。
「このヨーグルッチ、賞味期限がオレの誕生日…」
「くれ」
よくオレも思い出せたな。
これはオレがあげたピアス、これも。
数学ノートが出てきたらかパラパラとめくってみると、オレが描いたごはんくんVSヨーグルッチのラクガキがあった。
他にも、授業中にまわしたメモとか。
あいつ、捨てずに全部持ってやがる。
全部オレのものばっかりでカァッと顔が熱くなった。
トドメがオレの写真ばっかり入ったアルバム。
いつ撮られたのか。
携帯で撮って写真にしたな。
オレは蓋を閉め、ガムテープを貼り直す。
見なかったことにしよう。
こっちが恥ずかしくなる。
手を団扇代わりにして顔の熱を冷ましながら、隣の自分の部屋へと向かった。
「!!!」
そこには、床に座り、オレが国語辞典に隠してた写真を見て、顔を真っ赤にしている姫川がいた。
「なにやってんだてめぇ!!;」
オレは自分を棚に上げた。
辞書を慌てて取り上げたが、その勢いで他の写真が辞書から出て宙を舞った。
全部姫川の写真だ。
「いや…、おまえが辞書持ってるから怪しいと思って…」
隠し場所を間違えたようだ。
「…その…、こっぱずかしいな…」
やめろ。
数分前の自分を見ているようだ。
「あ、オレがプレゼントしたの、箱分けしてたのか」
「や―――め―――ろ―――」
見られそうになったので慌てて止めようと手を伸ばした。
「あ!」
その時、箱につまずき、思いっきり姫川にダイブしてしまう。
オレが押し倒すかたちになってしまい、オレは身を起こそうとしたが、オレの背中にまわってきた姫川の手に動きを封じられ、頬にキスされる。
「これからもよろしく」
「……よろしく…な…」
「よろしくついでに早速…」
そう言ってオレの服の中に手を突っ込んできたので額を軽く叩いた。
「荷物! 片付けてからな」
同棲生活、始まり始まり。
.To be continued