もうひとつの帰る家です。
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あれはクリスマスだったか。
「同棲しないか」。
最初言いだしたのはオレだ。
返事は即答だった。
「いいよ」。
迷いのない返事に呆気に取られたオレの顔をあいつは指さして腹を抱えて笑い、不意をついてオレを抱きしめた。
その時オレは嬉しさのあまり、フリーズしてなされるがままになっていた。
同棲後の生活は大体決まって、今度は親の説得だ。
姫川と付き合ってることも、これからずっと一緒にいたいと今まで隠していたことを正直に話したところ、親父に「ふざけるな」と殴られた。
うちの若いモンにも必死で止められた。
まあ、オレがいなきゃ、家の跡継ぐ奴がいなくなる。
男と生涯ともにするってことは、子供も諦めなくちゃいけないし。
しばらく冷戦が続いた。
それでもオレは食い下がった。
どうしても、オレはあいつと一緒にいたい。
親父はそれを「一時の気の迷いだ」とか言うけれど、相手はあの姫川だ。
気の迷いで好きになるような相手じゃない。
兄貴みたいに親と縁切って出て行けばいいって?
そんなことして一番気にするのは、あいつだ。
すっきりした気持ちでオレと一緒にいてほしい。
「悪かった」なんて言わせるか。
だから、姫川も今必死で親を説得してくれてるんじゃないか。
オレと同じ気持ちで。
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