暮らし始めた2人は?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
新年の挨拶はメールで済ませそうな姫川が、年賀状を出したいと言い出した。
「やっぱり、オレ達の写真でいいよな」。
そう言ってオレの許可をとってから、ひとりで年賀状制作を始めたのだった。
オレも何か手伝おうかと思ったが、「出来上がりを楽しみにしてくれ」と言われた。
どんな写真を年賀状に載せる気だろうか。
結婚してから2年ほど経ちそうなので、今更結婚式の写真は使わないだろう。
内心で出来上がりを楽しみにしながら、数日後、年賀状が完成したようだ。
それを知ったのは、マンションのエレベーターで蓮井と出会った時だ。
「お」
「あ、失礼を…」
エレベーターが開いた瞬間、オレが先に外に出ようとした際に蓮井とぶつかってしまった。
蓮井の手に持っていたものが床に散らばり、オレも拾い集める。
「悪い」
「いえ、お急ぎですか?」
「そういうわけじゃねえけど、久々に早く帰って来れたし、あいつも先に帰ってると思って…」
あと、そろそろ年賀状が完成している頃だと思って。
「仲睦まじくてよろしい事です」
「いやいや、あんたの口からそんな…」
言いかけて、オレは手を止めた。
手に持っているのが、明らかに年賀状だったからだ。
“城山猛様へ”と書かれてある。
問題はその裏だ。
くるりとひっくり返してみると、姫川がオレ似の子どもを、オレが姫川似の子どもを抱っこしている写真があった。
文字には可愛らしいフォントで、『こんなに大きくなりました』と書かれてある。
「あ」
オレは蓮井が拾い集めたのも含めて奪い、部屋へと走った。
ドアを蹴破るように開け、リビングのソファーに寝転んで一息ついている姫川に踵落としをお見舞いしてやる。
「ぐはっ!!」
「おいコラなんだこの正月ボケが詰まった写真は!!?」
「あ、見ちゃった?」
「見ちゃったじゃねえだろ!! どうやって作った!!?」
「オレの家のアルバムと、はじめの家のアルバムを借りてアイコラしました。よく出来てるだろ?」
「出来過ぎてて怖ぇよ!! てめぇ無駄な才能をこんなところで発揮すんな!!;」
「いやせっかくだから、びっくり正月したくて」
「引くほどビビるだろうな;」
「蓮井の奴、神崎に見つかってどうするんだ…」
見つけてよかった。
本当に。
「これは没!! ちゃんとしたのを作れ!!」
「ちゃんとしたのを?」
「!?」
立ち上がった姫川は、オレの胸倉をつかむなり、いきなりキスしてきやがった。
仰天するオレに構わず、そのままカメラ目線で、どこから出したのかデジカメで撮影した。
それからパソコンを開いて作業に移る。
「タイトルは、『今年もラブラブです』っと…」
「ゴラァァァァァ!!!」
間違っちゃいないだろうが限度がある。
初めての年賀状作りにノリノリなのだけは伝わった。
.