暮らし始めた2人は?
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「誕生日おめでとうだ!!」
ソファーに座るオレは、朝っぱらから頭を抱えた。
目の前のテーブルには、シャレた包装紙に包まれ、リボンで結ばれラッピングされたプレゼントが置かれてある。
そうだ、今日はこのオレの誕生日。
姫川がこの日のためにプレゼントを用意してくれたようだ。
それは素直に嬉しい。
けれど、限度というものがある。
目の前にあるプレゼントはひとつじゃない。
いくつもあるのだ。
テーブルから落ちそうになるほど。
しかもどれも包装紙やタグを見る限り、有名なブランドものばかり。
「この大量のプレゼントはなんだ?」
右手で顔を覆ったオレは尋ねた。
「全部オレからに決まってんだろ」
姫川は偉そうに腕を組んで自慢げに言ってくれる。
オレは腹の底からため息をついた。
うん、言おう。
「おまえな、いくらなんでもやりすぎだっ! ひとつでいいんだよオレは! 金の無駄遣いすんな!」
「ムダじゃねーよ。どれがいいか決まらなくて、おまえが「あれがよかった」と思わないようにとか深読みしていくうちにこんな…」
不器用さん。
こいつらしいっちゃらしいが。
箱の中身は、アクセサリー、迷彩柄の服、靴、帽子、小物…、ほとんどオレ好みのモンばっかりだ。
けれど、やっぱり全部貰うわけにはいかない。
「去年は大量のヨーグルッチだったしな。今年は別の物にしようかと…」
「去年と同じでよかったんだよ。確かにほとんどオレの好きそうなものだけど、やっぱり全部は受け取れねえよ」
ああ、姫川の空気が落ち込んでいくのが見える。
オレ以外の奴だったら素直に喜んだだろうに。
オレに対しての場合、じっくり考えながら買ってくれたのはわかっている。
それでも来年また同じことを繰り返さないようにしなければ。
「……これだけもらう。あとは返品してこい」
オレが手に取ったのは、少し長めのシルバーチェーンのネックレスだ。
「…それでいいのか?」
姫川の顔は困惑している。
たぶん、この中でそれほど高くないものなんだろう。
それでもオレは首元につける。
「似合うか?」
「あ…、ああ。…欲のねぇ奴だな…。知ってるけど……」
「……………」
黙って、隣をぽんぽんと叩いて呼ぶ。
「?」
向かい側に立っていた姫川が移動してオレの隣に座った。
「来年も、プレゼントは何でもいい。けど、絶対1つだ。いいな?」
オレのセンスは理解しているようだし。
ハズレを渡されることはないだろう。
「…ああ」
「それとヨーグルッチ」
「…うん」
「それと…」
首元にかけた、プレゼントのチェーンをつかみ、姫川の首にかける。
「たつや、おまえが欲しいな」
姫川の顔がポカンとする。
オレもだんだん顔が熱くなってきた。
つられて姫川の顔も赤くなる。
それを誤魔化すように至近距離でそのままキスしてきた。
「オレが貰う側になっちまうけど? 20歳のはじめの初キスとか…」
ニヤリ、と笑う姫川の手が裾から入り込んでくる。
「くれるものはあるだろ?」
視線を下にやって挑発的な笑みを浮かべて誘ってやれば、簡単に糸は切れてその場に押し倒される。
生まれた日は特別な気分にさせてくれる。
キスひとつでさえプレゼントとしては十分なんだ。
なのに、こいつ自身に対してはそれ以上を求めてしまう。
組み合わせてくる手も、絡めてくる熱い舌も、オレを見る視線も、身体の体温も、うるさい鼓動も…、
「たつや…、あ…」
「はじめ、愛してる」
甘い言葉も、一生繋いでいたいほど、全部。
「欲がねぇ」って?
誰にも負けねえくらいの欲張りだよ、オレは。
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