暮らし始めた2人は?
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「あ」
神崎と姫川が同棲しているマンションの前で、仕事帰りの姫川は二葉とばったり出会った。
「よっ。たつや」
「……………」
遊びに来たようだが、入口の部屋番号が押せずに立ち往生していたようだ。
「前に一人で来た時はどうやって入った?」
「他のマンションの奴に紛れて」
さらりと答える二葉。
姫川はセキュリティの甘さよりも、他の住人の甘さに呆れ果てる。
「さっさと上げろ、たつや」
偉そうに言う二葉に、姫川はため息を漏らし、引きつった笑みを浮かべてその場にしゃがんで目線を合わせた。
「随分と馴れ馴れしくなったじゃねえか。「たつや」って気安く呼んでいいのははじめだけだ」
たとえ幼児であれど気安く呼ばれるのはいい気分ではない。
「だってはじめが…」
二葉はその時のことを話す。
「た…つや…。たつやたつやたつや……~~~~っ」
たまに実家で神崎が自室の鏡の前で、恥ずかしげに姫川の名前を呼ぶ練習をしていると。
「二葉も「たつや」の方が言いやすいと思って」
最近は気さくに呼んでくれるようになったかと思えば、陰でそんな努力をしていたとは。
「……今も続いてんのか?」
「うん。時々」
しばらく考え込んでいた姫川は、二葉にスマホを手渡し、肩を寄せた。
「…その光景、これで撮影してきてくれたら、ヨーグルッチ…好きなだけ買ってやる」
「!! 本当か!?」
「ああ。溺れるくらい飲ませてやる。だから、必ずそのシーンをおさめ…」
「5歳児買収しようとすんなぁ!!!」
ガッ!!
ベランダで布団を取り入れようとしたところ、その光景を目にしていた神崎はハンガーをブーメランのように投げつけたのだった。
それからしばらく、姫川が反省するまで苗字すら呼んでやらなかった。
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