一日執事です。
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「姫川様ーっ!」
「きゃーっ、姫川様ー!」
なんであいつがずっとフロアの奥に立っていたのかわかった。
これだ。
この女どもの群れを避けてたのか。
けど、お祝いの言葉は姫川もあったらしく、注目率100%のスピーチが終わったあとはこの騒ぎだ。
若い女や年増の女からまるで人気ハリウッドスターみたいな人気ぶりだ。
姫川は気付いてないかもしれないが、婚約パーティーのもうひとりの主役である女からも熱っぽい視線を向けられていた。
あーあ、これから人妻になろうって女が。
やっぱりリーゼントで来させるべきだったか。
ちょっと後悔。
オレはというと、執事として姫川の隣に立ちたいが、奴を囲む女性集団の結界が邪魔で入り込めない。
「竜也様!」
せっかくデカい声で呼んでんのに、黄色い声までがそれを邪魔する。
舌を打ったオレは、テラスへと出て外の空気を吸った。
外へ通じるドアを閉めれば辺りのボリュームが下がる。
「ふぅ…」
オレのタバコであるヨーグルッチが飲みたくなる。
金持ちはヨーグルッチは飲まないだろうな。
ため息をついて涼しい夜風を肌で感じていたとき、誰かがドアを開けたのか、一瞬背後がうるさくなった。
解放された姫川かと思って振り返ると、峰だった。
「やぁ」
親しげに声をかけてきた。
「…どうも」
本日のパーティーの主役に一礼すると、峰は懐からタバコの箱とライターを取り出した。
確かこいつの年はオレ達と同じ18歳。
未成年のくせにタバコを吸っていいのかよ。
そんなことは口に出さず、姫川のところに戻ろうとした奴の隣を通過しようとした時だ。
「姫川に、いくらで雇われたんだ?」
不意にオレの足が止まる。
「は?」
「今のオレならその倍出してやるから、すぐに雇われてくれないかな?」
峰は煙を吐き出しながら、嫌な笑みを浮かべてそう言った。
「……………」
「一緒にあいつがめそめそと孤独に帰って行く様、見届けてやろうぜ。バックにオレがいれば、痛い目みずに済むんだ」
その言葉が、こいつが吐く煙以上に不快だった。
オレは爪が食い込むほどコブシを握りしめて耐える。
爪の痛みがどうにかオレの理性を押さえてくれた。
「ほら、いくら欲しいんだ? 言ってみろよ。宝石がいいか? それとも、女か? あいつだって散々同じことしてきたんだし、今更だろ? あいつの執事だってんなら、クソみたいなところも知ってるはずだ。オレとあいつのなにが違う?」
「………ひとつ、よろしいですか?」
「なんでも言ってみろ」
オレは満面の笑顔を見せる。
「では、一発ぶん殴らせてください」
「え」
ゴッ!!
やっちまったぁぁああっ!!
けど、スッキリ☆
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