一日執事です。
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ノックして扉が開けられ、顔を出した姫川はオレを見て目を丸くした。
「…え…、神崎?」
「お届けものでーす」
「あ…、はい」
とりあえず姫川は荷物を持ったままのオレを抱きしめた。
「オレじゃねえよっ!!」
オレはツッコミとともに荷物をぶつける。
割れもの入ってた、と思い出したのはそのあとだ。
部屋に入れてもらい、ようやく重い荷物から解放された。
「蓮井が…。そりゃまいったな…;」
事情を聞いた姫川はベッドに腰掛け、頭を抱えた。
「いないとマズイのか?」
「ああ。付き添いの執事は必須だ。じゃないと招待先に笑われちまう。こっちはでかい看板背負ってるってのに…;」
「今から別の執事を呼ぶのは?」
「ずっと蓮井に頼りっぱなしだったからな。今日も確実に蓮井付き添いだと信じてたし、今からだと間に合うか…。半端な執事も困る」
よほど信頼してるんだな。
そう思ったら、胸に小さなトゲが刺さったのを感じた。
いや、これはけっして嫉妬とかそんな女々しいものではなくてだな。
自分自身に言い訳を始めたとき、「神崎、頼む」と突然言われ、姫川に顔を向けた。
「……ちょっとオレの執事になってくれねーか?」
思考停止。
1分後復活。
「ちょっとそこまで買い物行ってきて、みたいなノリで言うなっ! ムリに決まってんだろ! 半端な執事以下だぞオレは」
執事の経験どころか、誰かの下についた経験さえない。
そういうのがもともと柄じゃないからだ。
つうか嫌。
なのになにを言ってるんだこの坊っちゃんは。
焦り過ぎて血迷ったか。
「そう言わずに頼むよ、神崎。おまえは半端な執事以上だから言ってんだ」
「そんなわけねーだろ」
「執事は主人のことを誰よりも理解していなければならない」
「だからってオレを選ぶのは間違ってるから! 頭冷やして考え直せ! 笑われるのがオチだっての!」
「おまえを笑った奴らは姫川財閥を駆使して抹消してやる」
「家の力で犯罪犯すなっ!! てめーが笑われるって話だ!!」
余計に引き受けづらいわ。
「とにかくオレはやらねえからな!! 絶対!!」
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