小さな話でございます。
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騒ぎが聞こえ、神崎の教室を覗くと3-Aは腕相撲大会で盛り上がっていた。
神崎の席に一列に並ぶ不良共。
負けた連中は野次を飛ばしている。
「さすが神崎さんだ。もう15人抜きだぞ!」
「だが、残りまで神崎さんの体力がもつとは思えない!」
「見ろ、へろへろだぞ!」
「ついに神崎さんがヨーグルッチを奢るはめに!?」
なるほど。
神崎が全員抜きしたら、クラス全員がヨーグルッチを奢り、ひとりでも神崎を倒されたら神崎が全員分のヨーグルッチを奢る勝ち抜きバトル。
相変わらず熱い。
そしてくだらない。
あいつがそんなポンポン倒せるわけねえだろ。
誰かがそんなゲームを神崎に持ちかけたに違いない。
あいつプライド高いから乗らざるを得なかったんだな。
「あ、姫ちゃん」
「!」
夏目がオレに気付いた。
それに続いて神崎もオレの存在に気付く。
「ほらほら、姫ちゃんも神崎君の応援してあげてっ」
逆に鬱陶しがるだけだろ。
神崎は20人目に突入。
ひょろそうな相手でも互角だ。
ヨーグルッチで充電しても所詮は気休め。
長くはもたないようだ。
すると、神崎が席を立った。
「おまえら、1分だけ待ってろ。トイレ行ってくる」
1分だけなら、とクラスの奴らは頷いた。
神崎はオレが立つ教室の出入口から出て行く。
同時に、オレの手首をつかんで引っ張った。
「は? おい…」
わけがわからず連れていかれた先は、クラスの奴らに宣言した通りトイレだ。
「…連れションか?」
「馬鹿言うな」
すると個室に押し込められ、いきなりギュッと抱きつかれた。
「は!?」
オレが抱きついたら「鬱陶しい」とか文句垂れてたあの神崎が、オレに抱きついてきたのだ。
ぴとりと神崎の体が密着する。
神崎もけっして恥ずかしくないってわけでもなく、頬がほのかに赤い。
それに鼓動も早鐘を打っている。
「神…崎?」
これはOKのサインか。
このままトイレプレイにしけ込めばいいのか。
そんな期待も束の間、神崎はオレからぱっと離れ、個室から出ていってしまった。
「ちょ…っ、えー?」
からかわれた?
あんな使い捨てカイロみたいにあっさり?
オレは複雑な気持ちでもう一度教室に戻ってみると、先程よりも教室は騒々しくなっていた。
「すげー! 神崎さん30人抜きだ!!」
「トイレでなにがあったんだ!?」
さっきとは打って変わって元気な神崎が次々とクラスの奴らを瞬殺していた。
もしかして、さっきのって…。
「充電のおかげだね、神崎君」
「うるせー! 次はてめーだ夏目!」
思い出したのか、カッと神崎の顔が赤くなった。
オレと目が合うとこれまた恥ずかしげに逸らす。
全員抜きしたら今度はオレが神崎をトイレに連れていくと決めた。
そこで下半身の充電を消費させてもらおうじゃないか。←最低
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