小さくても生意気、でも愛しい。
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「どういうことだ? オレが戻って、今度は神崎がこのザマだ」
姫川は、席について赤ん坊を抱っこしている男鹿嫁に近づき、問い詰めた。
「感染だ」
男鹿嫁はさらりと答えた。
「「感染!?」」
オレと姫川は同時に驚く。
「ああ。そのサイズのまま放置していたら、菌は他の者にも移ってしまう。すぐに治療しないからだ、愚か者め」
「ぐ…っ」と姫川が唸る。
姫川の時は、牛乳なかったんだからしょうがねえだろ。
「元に戻してこなかったのか?」
男鹿嫁は目線を上げてオレに聞いてきた。
オレは今朝のことを思い出し、青筋を立てて話す。
「…こいつが今朝のメニューはシチューだとか抜かしやがって…、残りの牛乳全部使い切りやがった。朝からそんな重てぇ朝食があってたまるか!」
「おい神崎…」
「オレが学校行くの嫌がったら、即効で執事に特注の学ランを作らせてもってこさせるし…」
蓮井だったか。
オレを見た時のあのショッキングな顔、「坊っちゃまがついにフィギュアまで…!」っていう顔だった。
思いっきり誤解されたじゃねえか。
「鼻息荒く、オレのこと着替えさせようとするし…!」
「うわぁ…」とクラス全員がどん引きする。
「オレが変態みたいじゃねーか!!」
「変態だろうが!! オレをこの状態で留めたい感まるだしなんだよ!!」
オレは姫川の頭から下りて肩から腕を滑り降り、男鹿嫁の机に着地する。
「城山! 今すぐヨーグルッチ買ってこい!!」
「は…、はい…っ」
城山はすぐに自販機へと向かった。
それを見届けた姫川は出入口から顔を出して叫ぶ。
「待て城山!! 戻ったらどうするんだ!?」
全員が「やっぱ戻ってほしくないんだ」という呆れた顔をする。
その時、城山とすれ違うかのように、東条が教室に入ってきた。
「なんの騒ぎだ?」
「あ、東条…」
オレが言うと、東条はこちらに顔を向け、すぐに近づいてきた。
「え、なになに!?」
東条の顔面がすぐ目の前に迫り、オレは尻餅をつく。
カッと見開いた目が怖すぎる。
こいつなりに驚いているのだろうか。
「!! 離れろ、神崎!!」
そう叫んだのは、相沢だった。
「へ?」と振り返った時、いきなり右手で首から下をつかまれた。
「ぎゃああ!?」
「こ…、このカワイイの、もらっていい?」
ようやく発した第一声がそれだ。
そういや、こいつカワイイもの好きだった。
姫川はすぐに頭の上で両腕を使って大きな×を作った。
「ダメ!! 絶対!!」
「い、いくらだ!?」
「それオレのセリフ!! 億積まれてもムリ!!」
ど―――でもいいから、早く救出してくれ。
興奮してるのか手が汗ばんでるし、そろそろアバラ1本折れるどころか、内臓もろもろ吐きそうだ。
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