小さくても生意気です。
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散々笑ったあと、姫川を救出し、おわんに入れた湯で洗ったあとドライヤーで乾かした。
いつもなら長い髪のせいで乾きにくいが、サイズが小さいと早乾きだ。
そのあと、姫川を連れて近くのスーパーに牛乳を買いに出かけた。
本当は置いていきたかったのだが「ひとりは嫌だ」とごねられた。
「やれやれ、酷い目にあったぜ。オレもう臭くない?」
「臭くねえから。今喋んな」
姫川はというと、オレの胸ポケットに収まっていた。
傍目から見れば小さな人形がポケットから顔を出しているように見える。
「…どうせなら、逆がいいな。オレがちっちゃな神崎を胸元に入れて持ち歩くみたいな…ぐえっ」
胸ポケットを軽く叩いた。
「黙ってろっつーの」
そんな会話をしながらスーパーに到着し、買い物カゴを載せたカートを押して店内に入る。
「ついでに夕食の分も買う」
「すっかり奥さまだな。オレの」
余計なひと言は無視して、とりあえず重要な牛乳は確保した。
あとは夕飯の材料を買って帰るだけ。
「あとは豚肉を買って…」
「おい、思いきって牛肉買ってもいいんだぜ」
「たまには豚肉も食べてぇんだよ」
いつも牛肉ばかり食べればたとえ高級品でも飽きる。
移動したオレは一度動きを止めた。
「どうした? お?」
胸ポケットから姫川を取り出し、買い物カゴの中に入れた。
「悪いな姫川。ここから先はてめーを巻き込みかねない」
「か、神崎…? まるでこれから戦場に行く男の顔になってるぞ」
「そこで待ってろ。絶対、勝ち取ってくるからよ」
そう言ってオレは戦場と言う名のタイムセールスに赴いた。
そこにはすでに他の奥様方が集い、セール品を奪い合っていた。
オレは火の中に飛びこみ、目標を狙う。
豚肉発見。
しかし妨害が入る。
クソ、負けてたまるものか。
オレは豚肉が食べたいんだ。
これ以上実況中継するとかなり長くなりそうなので省略させてもらう。
見事辛勝して豚肉を勝ち取ったオレは、 戦争から帰ってきた夫の気持ちでカートに戻った。
「姫川、やったぞ」
しかし、そこに姫川の姿はない。
「…姫川?」
辺りを捜すがそれでも見つからなければ声も聞こえない。
放っておいたから拗ねて隠れているのだろうか。
「姫川! もう帰るぞ!」
まるで子どもを捜しているようだ。
「……………」
一向に姿を現さない。
どうしたものかと焦っていると、近くで試食を配っていた店員のおばちゃんが声をかけてきた。
「兄ちゃん、もしかして人形捜してるの?」
「え…、ああ、これくらいの…銀髪の人形を…」
オレは両手に間を作り、高さを説明する。
一応「妹の」と強調して付け加えておく。
まさか、勝手にどこかに行ったところを目撃されたのか。
けれど、おばちゃんに、そんな未知との遭遇した感じはない。
「だったら、さっきよその女の子が持ってったわよ」
「…ええええ!!?」
姫川が盗まれてしまった。
「どんな女の子!?」
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