小さくても生意気です。
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オレはテーブルの席に座り、机の上で胡坐をかいてる姫川に、男鹿嫁から教わった戻し方を説明した。
「………もう1回」
最後まで聞いてたはずの姫川は具合の悪そうな顔で、人差し指を立てた。
「だから……」
オレはまた一から丁寧に説明する。
戻し方は時間が立てばとか、こんなものを食べればとかではなく、ある体操をすることによって戻るそうだ。
牛乳を飲んだあと、こう、土に植えた種が早く実るようにと、合わせた両手を頭上高く上げ、「んばぁっ」と気合を入れて広げるあの某ジブリの儀式みたいな体操だ。
ちなみに「んばぁっ」は100以上繰り返さないといけないらしい。
「なんでここの管理人はジ〇リネタを使ってくるんだ。しかも古い方。この間は空飛ぶ城の方だったし、ジブ〇知らない奴がいたらわかんねーだろ」
「簡潔に答えよう、〇ブリが好きだからだ! しかし今後は気をつけるらしい」
「つうかヤダよ、そんなふざけた体操やるの。しかも100回以上って酷すぎるわ! あれって一種のスクワットだぞ! オレこのままでもいい」
腕を組んでプイとそっぽ向いてしまった。
「わがまま言うなよ。そんなサイズで生活できるか。誰が世話すると思ってんだ」
「それはもちろん神崎が…」
「ハムスター小屋でもいいってんなら考えてやっても…」
睨みを利かせて言ったが、その方が平和的でいいかもしれないと考えてしまった。
滑車を走る姫川も見てみたい。
ヒマワリの種も食べれるだろうか。
「おい、口元がニヤついてんぞ」
指摘したあと、姫川は露骨なため息をつく。
「…わかった。よくよく考えれば…、このサイズじゃ神崎にアレやコレやできねえしな…」
「詳しくは聞かねーぞ」
「はうっ!」
デコピンを食らわせると、後ろにこけた。
オレは冷蔵庫から牛乳をとってこようとした。
飲む量は適量でいいらしい。
机の脚から滑り降りてきた姫川は冷蔵庫へ向かうオレのあとについてくる。
おお、なんだかようやく可愛く見えてきたぞ。
冷蔵庫を開け、牛乳を捜したが、どこにもない。
もしかして昨日のシチューで全部使っちまったか。
「姫川、買いに行かないとねーわ。…姫川?」
足下を見るが、どこにも見当たらない。
間違って踏みつけたんじゃないかと足の裏も見たがやはりいない。
すると、冷蔵庫の裏から声が聞こえた。
「へぇ、冷蔵庫の後ろってこうなってたのか…」
「おい、あんまりチョロチョロ動くな。踏みつぶしちまうだろが」
「なんだよ、人をネズミみたいに…、あれ? なんだこの甘い匂い…うわああああ!!」
冷蔵庫の裏から小さな悲鳴。
「姫川!?」
「た…、助け…」
なにがあったのかと面倒だが急いで大きな冷蔵庫を傾け、その後ろを見る。
そこには、ゴキホイが設置されていた。
まさかと思って中を覗くと、姫川がそこに引っかかっていた。
「ぐ…っ、動けな…い…」
足をとられて尻餅をついた挙句起き上がれなくなってしまったようだ。
もうダメだ。
耐えきれず、オレは大爆笑した。
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