小さくても生意気です。
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定規で測ってみたら、その高さ10センチ。
素っ裸では寒いだろうと白いハンカチを切って巻き付けてやった。
まるでモーゼだ。
まめ姫。
「豆の国のお姫様」というイメージが湧きあがり、笑いを堪え切れなかった。
いや、笑っている場合じゃない。
なぜ姫川が小さくなってしまったのか。
おそらく、あいつが関わっているのだろう。
頭にパッと浮かんだ「あいつ」の連絡先は知らないので、仕方なくそいつと親しい男鹿に電話してみる。
ちなみに、その間姫川はオレの頭の上で絶景を楽しんでいた。
「巨人の家だな」
「おまえの部屋、一般人の部屋より広いしな。…あ、男鹿?」
コール5回目で出た。
「朝っぱらからなんの用だ。ブッ殺されてーのか?」
不機嫌極まりない。
「先輩にどの口叩いてんだ。そんなことより、近くに嫁いねーのか?」
「あ? ヒルダのことか? ちょっと待ってろ…ぎゃあああああ!!!」
「!?;」
赤ん坊の泣き声と男鹿の叫びとともに通話は一度切れた。
「な…、なにが起きた…?」
ツー、ツー、と鳴る携帯を見つめる。
その間、姫川はオレのチェーンにしがみついていた。
「痛ってぇよ! 引っ張んじゃねえ!」
「引っ張ってない。ぶら下がってるだけ♪」
ミニマムは満更でもなさそうだ。
もう元に戻すのやめてしまおうか。
スポンッ
そう考えたとき、肩に乗っていた姫川は足を滑らせ、オレの服の中に入ってしまった。
「わあ!?」
腹辺りなどをモゾモゾと動き回っている。
急いで裾から手を突っ込んで姫川をつかもうとするがつかめない。
逃げてるのか。
「おま…っ、どこ入っ…、あ、やめろ! ぎゃはははは!!」
くすぐったさに笑い声を上げてしまったが、ふと敏感なところを触られてしまう。
「ん…っ、やめ…っ! てめ…っ」
急いで手を伸ばし、ようやく捕まえ、睨みつける。
「このヤロウ…!」
たとえミニマムになろうと姫川は姫川。
ハムスターのような種食べてるだけのカワイイものとはまったく違う。
「小さくなっても出来ることは出来るんだぜ?」
偉くカッコよく言ってるつもりだろうが、やってたことは最悪だ。
舌をベッとされ、オレはそいつを手につかんだままトイレに向かう。
「トイレに流してやるっ!」
「おい! 悪気はねえって!!」
「ウソつけ!!」
その時、また携帯が鳴りだした。
足を止めると、手の中の姫川はホッと息をついた。
番号を見ると、どこかの家の番号だった。
「よう、さっきはベル坊がちょっとな…。携帯壊れちまった。ケホッ」
男鹿だ。
家の電話からかけてきたのか。
まるで口から黒煙を吐いているかのように噎せている。
赤ん坊が泣いて悲鳴上げた挙句携帯破壊ってどんな状況?
「ヒルダに代わる」
次に聞こえてきたのは、心当たりのあった「あいつ」―――男鹿嫁の声だ。
「なんだ?」と冷たく問う。
馬鹿にされることを承知でオレは、姫川が小さくなった、なにか原因を知ってないか的なことを聞き、相手の返事を待ったらあっさり返ってきた。
「ああ、それはおそらくミニマム菌にあたったのだろう。魔界のごく一部の食材についてる細菌だ。昨日、魔界の土産とアランドロンからマカイドクドクリンゴをもらっただろう?」
ああ、あの毒々しい色のリンゴか。
ジューシーで意外と美味かったんだよな。
「姫川はそれにあたったって? 菌でちっちゃくなるってスゲーな、マカオ」
なんでもありか。
「元に戻すにはだな…」
男鹿嫁が説明している間、姫川は手の中で「逆さに持つな」と暴れていた。
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