これでも惚れ込んでます。
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神崎は昼休みまでずっと目隠しをされたまま過ごしていた。
「なあ、これどうするんだよ…」
神崎は城山から渡されたヨーグルッチを飲みながら、苛立ち混じりに言った。
ずっとこのままというわけにもいかない。
誰かに惚れさせ、キスさせなくてはならないのだから。
姫川は古市の席に座り、神崎を見つめながら考える。
「誰にさせるか考え中なんだ。もうちょっと待ってろ」
「ねぇ、なんで姫ちゃんは候補に入らないの?」
それもそうだ。
元に戻したければ、姫川自身が神崎を惚れさせてキスすれば済む話じゃないか。
余計なことを、と姫川は夏目を睨み、神崎を一瞥してから理由を話す。
「オレは…、こいつに惚れてるからこそ…、その…、薬とか使いたくねぇんだよ…」
「姫川…」
神崎は一瞬感動を覚えたが、
「わー。最初「いくらで抱かせてくれる?」とか言って釣ってきたクセにー。それでボッコボコにされたクセにー」
「そういやそうだったな」
感動も冷めることを思い出した。
「神崎! 夏目に言いやがったな!?」
ちなみに城山にも言ってある。
「姫川…、なんか…、候補者がたくさん来た…」
「は!?」
城山が指をさす先を見ると、教室の出入口からこちらを窺う男女(まあ女が多い)がいた。
「あー…、バレーボールの一件もあって、ファンも増えたからね」
「どこから嗅ぎつけてきたんだ、ハイエナ共が。帰せ帰せ」
姫川に言われ、城山は窺う生徒達を追い払う。
これは一刻も早く神崎を誰かマシなものに惚れさせてキスさせなければ、いつ隙をつかれて目隠しを外されるかわかったものじゃない。
マシな相手。
石矢魔クラスのメンツを思い出す。
(東条組…ダメだ。レッドテイル…花澤がいいだろうけど…ダメ。MK5…論外。古市…論外。男鹿…こいつはオレ的にダメ。…ん?)
はっとなる。
男鹿にさせたくないが、その頭にのっかっているベル坊の存在を思い出した。
「そうだ! 赤ん坊だ! 赤ん坊ならまだ許せる!」
「なるほど。赤ん坊だったら、ふざけてファーストキス奪っちゃったぁなんてこともよくあるしね。…でもね、姫ちゃん、その赤ん坊だけど、男鹿ちゃんが連れて帰っちゃったよ」
夏目の視線を追うと、いつの間にか空席となった男鹿の席があった。
「巻き込まれたくねぇからって早ぇなあいつ!!」
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