想いを綴りましょう。
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一足先早く到着した神崎はポケットの手紙を握りしめ、下駄箱近くのゴミ箱を見下ろした。
捨てる。
ダッシュの最中に考えていたことだ。
「……さらばだ。オレの人生の汚点」
神崎はポケットから手紙を取り出し、破こうとした。
そこで動きを止める。
(もし…、好奇心旺盛な奴が見つけて拾ったら…)
石矢魔に多いタイプだ。
ないとも言えない。
手を止めた神崎は思い直し、ゴミ箱に捨てることを断念した。
(トイレは…、いや、詰まると困る。なら…、燃やすか? けど、ライターもってねぇし…)
持っている手紙を見つめ、ブツブツと呟きながら歩いていた時だ。
「なにブツブツ言ってんだ?」
「見るんじゃねえ!!!」
突然すぐ背後から声をかけられ、神崎は反射的に振り返ると同時に裏拳をそいつの顔に叩きこんだ。
「あ…」
「痛ってぇな…」
そこにはベル坊を頭にのせた男鹿が、険しい顔をして立っていた。
神崎の手をつかみ、闘争心をあらわにする。
「朝っぱらから上等な挨拶してくれるじゃねーか…」
「いや、これはな…」
理由を説明しようとしても手遅れだ。
そう感じ取った神崎は開き直ることにした。
ラブレター見られそうになりましたなんて理由、どちらにしろ言えるわけがないのだから。
「来いやああああ!!」
結果、男鹿の圧勝。
廊下でうつ伏せに倒れる神崎。
「ぐ…っ」
殴られた頬を擦りながら立ち上がる。
男鹿はすでに教室に向かっていた。
「フフン…、新記録だ。10秒はもったな…」
なんの自慢にもなりません。
「殴られたおかげで頭が冴えたぜ。ライター持ってなくても焼却炉に放りこんじまえばいいんだ」
思い浮かんだ名案にくつくつと笑いながら、神崎は手紙を握ろうとした。
しかし、
「!?」
肝心の手紙は、神崎の手の中にも、ポケットの中にもなかった。
神崎から滝のような汗が流れる。
(おおおおおお落っっとしたあああああああ!!!)
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