想いを綴りましょう。
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聖石矢魔学園は放課後となり、生徒達が下校していく。
教室がわずか数人となったところで神崎、城山、夏目も下駄箱へと向かった。
「…あ」
声を漏らしたのは夏目だった。
「どうした?」
神崎は夏目に顔を向ける。
「あはは…」
夏目は苦笑し、自分の下駄箱の中から一枚の封筒を取り出した。
桃色の封筒にハートのシール、“夏目さんへ”と女が書いたような文字。
はっとした神崎は手紙を指さし、声を上げた。
「それ、ラブレターじゃねーか!?」
「神崎君、声大きいよ!」
下駄箱には神崎達以外にも、石矢魔高校と聖石矢魔学園の生徒がまだちらほらといた。
「ラブレター」と聞いて全員が夏目に注目する。
「ラブレター!?」
女子は目を輝かせ、男子は嫉妬の眼差しを向けている。
いたたまれなくなった夏目は、神崎と城山の腕をつかみ引っ張りながら校舎を出た。
下り坂のところで歩調も落ち着き、夏目は封筒を開けて中身を見る。
「聖石矢魔の子かな?」
「てめぇを好きになる物好きがいたとはな」
「ははっ、神崎君ひどーい」
気になって神崎は夏目の横から覗き見る。
「!!」
しかし、あまりの熱烈な文章に思わずたじろいでしまう。
「神崎君には刺激が強すぎるかもね」
「よくそんな恥ずかしい文章書いて出す気になれるよな;」
こちらまで恥ずかしくなってしまう。
神崎は城山に渡されたヨーグルッチを飲んで心を落ち着かせた。
「想いがこもってていいと思うよ。メールで送られるよりもさ。…神崎君は手紙とか送られたこととか、送ったことないの?」
「あ? 果たし状なら受け取ったことあるけどよ…。書いたことはねーな」
「だろうね」
石矢魔高校ならそうだろう。
石矢魔の女子のほとんどは烈怒帝瑠の掟で恋愛禁止となっているため、ラブレターなんてもってのほかだ。
「神崎君も誰かにお手紙書いてみたら?」
「馬鹿言うな。めんどい。好きなら堂々と言えってんだ」
「あー…、神崎君はそっち派かぁ。城ちゃんならどんなこと書くの?」
「お、オレか?」
話を振られ、城山は腕を組んで眉間に皺を寄せながら考える。
悩む城山を楽しげに見つめながら、夏目は「じゃあ」とたとえを出す。
「神崎君に書くなら?」
「そこでオレを出すのか」
すると城山は先程の悩みが嘘だったようにベラベラと喋り出した。
「神崎さんへ! あなたと初めて出会った時からオレの心はあなたが―――で、―――――必ずお守りしたいと誓い、――――――誰よりもあなたが―――そこでオレは―――」
せっかくですが、以下省略させていただきます。
「神崎さんはオレの―――」
「城山、もういい。気持ちは十分伝わった」
「トイレットペーパーいるね」
あまりの長文にすっかり辺りは暮れ、立っているのが疲れた神崎と夏目は道の真ん中に座り込んでいた。
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