プレゼント:赤ずきん
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森を抜けた先にある集落に住む城山宅に1つの人影が訪ねて来ました。主の返事もなく来訪者の狼姫は問答無用で足を踏み入れます。
「よぉ城山、今から赤ずきんな神崎が来るからそこのベッド退けろ」
「貴様も躊躇なくストレートに云うな」
病人である城山もこの言い草にはうんざりとします。狼姫もいい感じにパロの情緒もへったくれもないから困りものです。
「病人相手だから穏便に済まそうとしてんだ。おら退け」
「ここで俺が退けたら神崎さんをどうするつもりだ」
「あン?当然何も知らずにやって来た神崎とセオリー通りに問答したら俺があいつを性的に頂きますが何か?」
「そういうオチも魂胆も見えてるから俺も頑なに拒…っげほげほげほっっっ」
城山も自身が病人であることを少々忘れていたようです。下衆の代名詞である狼姫もスタンバトンで一発…なんてことはせず、相手が病気ならばやることは1つです。
「救急ヘリ一台大至急。でもってVIPルームで丁重に最高の看病してやって」
携帯1本でヘリは到着し救急隊員の迅速な対応により城山はあっという間にヘリで搬送されてしまいました。
「さぁってと」
主のいなくなった家の中で活き活きとしながら狼姫はベッドの中で城山に成り代わり、見舞いにやって来る神崎さんを待つことにしたのでした。
そんなことになってるとは何も知らずに森を抜ける神崎さんの頭上をヘリが飛んでいくと森の中で大風が吹きました。
「うぉ、風強ぇな…」
取れかかった赤いフードを押さえ、もう目の前にある城山宅へと足を向けます。夏目からの見舞い品が入ったカゴを揺らし、出張花屋の東条から買った小振りの花束を片手に本来の主がいない家の扉をノックしました。
「おぅーい城山、俺だ」
「神崎さんどうぞ。開いてます」
金でどうにでもできる狼姫は予め作っていた城山ボイスでの対応です。何の疑いもなく家へと上がりベッドの上で布団を頭まで被っている城山…に扮した狼姫に近付きます。
「風邪如きでやられんなよ」
「すみません神崎さん…」
「夏目から色々持たされたぜ。風邪薬から雑炊やら栄養ドリンクやら。因みに夜の栄養ドリンクは捨ててきたからな」
「は?夜の栄養ドリンク?」
「気にするな忘れろお前の為だ」
「はぁ…。…神崎さんに見舞いに来てもらったりと色々ありがとうございます」
「俺はただのお使いみてぇなもんだ」
布団の中にいる狼姫は思いました。じれったい、と。
それもこれも本来の赤ずきんストーリーにある有名なシーンを迎えるまでの我慢だと襲いかかりたい気持ちを必死に抑えます。
「ところで城山…お前そんな耳してたっけ?」
来た!
狼姫は心の中でガッツポーズを決めました。
「神崎さんの話をよく聞く為です」
「何云ってんだ。つか銀髪じゃなかっただろ」
「風邪の所為で…治ったら戻りますよ」
「奇天烈な症状だな。それと無駄に良いボイス…つーかエロいんですけど?」
「これも風邪の所為なので気になさらず…ごほごほ」
わざとらしく咳き込む狼姫。するとベッドに近付く物音が聞こえ、覗き込まれるような気配を感じました。
「お前髪型……何かリーゼントっぽくねぇか?」
本来の赤ずきんは『どうして口が大きいの?』ですが狼の相手が姫川なのでそこはご愛嬌。
いよいよな展開の台詞に勢いよく布団を捲り上げました。
「それは俺のポリシー&生業だからだ神崎ぃ!」
行動と台詞が一致しませんが狼姫はぐわっと襲いかかる………
『ガチャ』
「―――ん?」
襲いかかるその前に額に何か当たりました。視線を上に向けると拳銃の銃口が向けられており、更には銃の所持者が神崎さんでありました。
引き金に指を当て今にも撃ち抜かんばかりに流石の狼姫も目を丸くしっぱなしです。
「あれ…?えっと…神崎さん…?あなた赤ずきんですよね…?」
「まごうことなき赤いパーカーのフードを被った『赤ずきん神崎』だ。ゴロ悪りぃな」
「確かに。『神崎赤ずきん』かいっそ『赤ん崎』にすれば?」
「後のは別物になる上に何か違くねぇ?」
「かもな。…そうじゃなくて、この銃の意味が解かりません」
苦笑いも引き攣る狼姫ですが対して神崎さんは微笑みます。
「従来は狼に食われた赤ずきんを狩人が助けてめでたし・めでたしだな。…が、そんなセオリー通りじゃつまらないだろう?」
「食うつっても俺の場合は性的意味が大分含まれ「誰がんなことさせるかボケ」
最後まで語らせず言葉を重ねる神崎さんは続けました。
「ところでよ、赤ずきんが狩人に成り代わるってのもアリじゃねぇか?」
「は…?」
「つまり、赤ずきんが自ら狼をぶっ倒すって方が俺達らしくていいんじゃねぇかなーっと」
微笑みに邪悪なものが含まれ、ニタァという効果音がピッタリな笑みです。これには狼姫も我が身の危険を察しベッドから勢いよく後ろに飛び跳ねました。
「待て神崎っ話せば解かる!」
「黙れ。何が性的な意味で食うだこの変態セクハラリーゼント狼が」
「ものの見事なオンパレード止めろ泣くぞっ」
「泣き喚け。てめぇの断末魔なんか屁でもねぇんだよっ」
『ダーン!』『ダーン!』
「うわっ!?マジで撃つな危ねぇっ!!」
「当てる気でいるだ、的が動くなっ!」
「撃たれてたまるかよ!」
狼姫は間一髪のところで銃弾から逃れながら、赤ずきんも殺る気満々で容赦なく連射していきます。森の集落に響く妙な銃撃音に誰もが不審がりましたが…
「待てゴラ姫川ぁっ!」
「神崎ふざけんなよてめー!?」
必死な形相と様子で駆け抜けていく狼と、その後ろから拳銃を片手に追いかける赤ずきんに「あぁ…。」と納得したそうです。そうして誰も狼に同情はしなかったのでした。
狩人に仕留められなかった狼は命からがらに赤ずきんの銃撃の嵐から逃れ、二度と襲うまいと誓うかと思いきや…逆に煽られたかのようにあれやこれやと陰険で狡猾な手段で何としてでも赤ずきんを襲撃しようと、そこにはやはりセクハラだの性的意味も含めた計画を練り上げました。
「次こそは絶対だっ」
そんな執拗な狼を見て村人達は『こいつだけは敵に回すまい』と遠巻きに眺めていたと云います。
「来るなら来いや。いつでも殺ってやんよ」
猟銃と、いつもお供をしている城山と夏目を携え、赤いパーカーのフードを被った赤ずきんも常に武装態勢だったと聞きます。
色んな意味で赤ずきんを狙う狼。
色んな意味で狼に狙いを定める赤ずきん。
見ようによってはバランスの取れた関係ではございますが、そこに殺気や計略がなければ大変に穏やかだったでしょう。
しかしここはちょっと治安の悪いイシヤマ村。赤ずきん対狼という構図も大変に許され大アリだと云われてしまう場所なのでございます。
そして今日も森の一角では猟銃が唸り声を上げるのでした。
めでたし・めでたし
【オマケ】
因みに城山宅で起こった銃撃戦の後…。
狼姫の手によって病院に搬送された城山は手厚い看護とVIPルームでの療養の末に全快し、帰宅するとそこで待ち受けていた我が家の状態に目を向きました。
「何じゃこりゃあ!?」
流石の城山も某俳優の名台詞で叫びます。ドアを始め壁という壁に銃弾の穴が空いており、これには家の主も大混乱です。
「あー、それ俺がやった」
「神崎さん!?」
「この間の銃撃戦の現場はここか…」
暴露した神崎さんと、この日になって納得する夏目の様子に訳が解からなくなりました。
「とりあえずやったのは俺だが原因はあのクソリーゼント狼だ。あいつに修繕費用請求しろ。文句云われたら俺が煽ってやるぜ」
なんとも頼もしい言葉ではありますがそれによってまた何か起きるのではとそちらを心配します。
しかし何だかんだと1日で修繕された城山宅ではありますが、そこでやはりひと騒動あったというのはまた別なお話になりましょう。
.END
シロウ様からいただいた、姫神赤ずきんパロでした!^^
なにこの2人かわいいんですけど!!
私がハンティングされたようなものです!
というか私も赤ん崎君にハンティングされたいんですけど!!←
オチはてっきり神崎君が襲われるかと思いきや、猟師になって返り討ち!(≧▽≦)
姫ちゃんが神崎君を頂く日は遠いのか近いのか
別なお話も気になるところですが、
シロウ様、わがままなリクエストに応えてくださってありがとうございます!!