体を温めて寝て下さい。
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「なんだよさっきから…」
体温計では初めて見る数字に神崎は驚愕の表情を隠せない。
(おおごと―――!! なんだこの数字! 脳みそ溶けてんじゃねーか!!?)
「き…、気にすんな…。大した熱じゃねえよ…」
人は、自分の熱を知ってしまっただけで余計にしんどくなる、という。
神崎はこれ以上の刺激を与えないようにと嘘をついた。
「神崎…」
「な、なんだ?」
「…セックスしたら治る気がしてきた」
「錯覚だ!!」
「安心しろ、風邪だろうが死ぬほど喜ばせてやるよ」
「てめぇが死ぬっつーの!! そんなに腹上死してぇのか!!」
「おまえの腹なら…、げほっ、がはっ」
(こいつ、そろそろダメかもしれない)
本当に死なれてはたまらないので、神崎は立ち上がって棚から風邪薬を捜そうとした。
「げ…ねつ? これか?」
ふりがなで判断し、神崎は数粒だけてのひらに出し、コップに水を入れて姫川のもとへ戻った。
「神崎…?」
「飲め。ちっとは楽になるから」
違った意味で楽になられては困る。
「ん……」
しかし、姫川は自分の身を起こすこともままならない。
「おい…」
「神崎…、ムリ…」
「……………」
神崎は苦しげな姫川の顔から背後の扉に視線を移し、ベッドの周りのカーテンを閉めた。
「神崎?」
神崎は錠剤を口に放りんで水を口に含み、姫川に口移しで飲ませた。
気管に入って咳こまないように、ゆっくりと飲ませていく。
どちらの口にも、解けた錠剤の苦味が広がる。
「う…っ、苦…」
口移しを済ませた神崎は顔をしかめた。
それを見た姫川は小さく笑う。
「エロいこと言うな…」
「どこがエロいんだ!?」
「神崎…、薬…、もっと…」
「……………」
弱い握力で手をつかまれて口移しをせがまれ、神崎は小さくため息をつき、もう一度錠剤と水を口に含んだ。
「神崎…、おまえが風邪ひいたら…、同じことしてやるよ…」
(治してから言え、アホ。オレにうつしていいから…)
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