小さな話でございます。
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事の発端!
ヨルダがお菓子と間違えて持ってきてしまった魔界の強力な媚薬を飲んでしまった神崎。
それをクラスの全員の前で伝えられ、本人が顔を青くしたのは言うまでもない。
そう、場所が悪いことに、ここは石矢魔特設クラスだ。
家までもちそうにない。
「神崎君、大丈夫?」
「あ…、ああ…」
息も荒く、体も火照ってきた。
我慢の限界に達した神崎は席を立ち、教室の出入口へと向かった。
「大丈夫…だから…誰もオレに近づくな。特に女子!」
余裕を見せようとするが、目がマジなうえに引きつった笑いだ。
神崎は前屈みのまま近くの男子トイレへと駆け込む。
「…まったくしょうがねえヤロウだな」
立ち上がって神崎のもとに向かおうとしているのは姫川だ。
夏目は「姫ちゃん」と手を伸ばして呼びとめる。
「神崎君が近づくなって言ってたじゃん」
「手伝ってやんだよ。せっかくの媚薬ネタなんだ。据え膳食らわばなんとやら」
姫川は待ち望んでいたかのようにどこか嬉しそうだ。
若干スキップ気味に教室を出てトイレへと向かっていった。
「………あれ? なんか、絹を裂くような悲鳴が…」
夏目どころかクラス全員がそれを聞いた。
「はぁ、はぁ…」
その数秒後、姫川は息せき切らしてボロボロの姿で戻ってきた。
学ランの右袖は破け、シャツは引き裂かれ、ベルトは外され、リーゼントは崩され、グラサンもどこかに落としてきたようだ。首や胸にはいくつものキスマークが散らばっていた。
「…姫ちゃん?」
姫川は両手で顔を覆い、出入口の付近に座り込んだ。
「オレが食われかけた…っ」
まさかの下剋上に、決死で振りきってきた様子だ。
「神崎君も立派な男の子だからね」
(食われればよかったのに…)
そう思いつつ、夏目は姫川に近づいて背中や頭を撫で、「いい子に待ってようねー」と落ち着かせた。
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