リクエスト:デートに妨害は付き物です。
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すべては数分のうちに終わった。
天下の石矢魔生は物足りなさそうな表情を浮かべている。
「え、終わり?」
「張り合いのねえ奴らだったな」
「つーか、こいつら誰?」
「さあ?」
ストレスを少し発散できた姫川は、集まった石矢魔生を眺めて肩を落とした。
(せっかくのデートが完全に台無しじゃねーか、クソ)
その不機嫌な横顔を見た神崎は、小さなため息をこぼし、適当なビルの屋上を指さした。
「あ!! あんなところに、真っ白なくま/もんが!!」
「「「「「なんだと!!??」」」」」
全員がそちらに顔を向けた瞬間、神崎は姫川の胸倉をつかんでこちらを向かせ、「え」とこぼす唇に自分の唇を押し付けた。
「いねーじゃねえか」
男鹿が文句を言うと、すぐに姫川から離れた神崎は真っ赤な顔を見られないように全員に背を向け、ニット帽を目元まで引っ張りながら「北極グマと間違えた」と無茶苦茶なことを言ってのける。
「神崎君、いい眼科紹介しようか?」
「いきなりだったんでびっくりしたっスよー」
一方、キスされた姫川は今の出来事が信じられなかったかのような表情を浮かべ、何度も思い返し、遅れて顔を真っ赤にさせる。
(神崎から…!! 神崎から…!!)
今まで神崎からキスされたことは1度もなかった。男鹿達がこの場にいなければ抱きすくめているところだ。
たった1秒のキスが、姫川の今日1日の不満をすべて吹き飛ばしてしまった。
「お…、お2人とも…」
顔を真っ赤にさせているのは、もうひとりいた。
古市だ。
現実的な彼は、最初はみんなにつられたものの、誰よりも早くそんなはずがないと気付き、神崎と姫川がキスした瞬間を目撃してしまう。
「「!!」」
古市に見られたことを察した2人。
古市は目を逸らして震えている。
「いや、あの…、そーゆー関係だったとは知らなくて…」
「ん? オレらがどーゆー関係だって? なあ、姫川」
「きっと襲ってきた不良に頭殴られたんだな、こいつ。オレ達が治してやらねーとな、神崎」
「え、どこに…」
神崎と姫川はすぐに逃げようとする古市の腕をつかみ、路地の奥へと連れ込んでいく。
「あ!! ちょっと!! なにするつもりですか!? ちょ、やめ、いやああああっ!!!」
路地の奥は暗く、なにが行われているのか男鹿達には見えない。
「あーあ、黙ってればいいのに…」と夏目。
「知らぬが仏ってね」と大森。
実は大半のメンバーが神崎と姫川の関係を知っているが、あえて触れないでいた。
公認してしまえば、きっとあの2人はところかまわずイチャつくだろうと予想していたからだ。
何度も悲鳴を上げる古市だったが、路地から出てきた時は半日のことを忘れていた。
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