リクエスト:とあるボス猫の幸せ。
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「みー」
雨の日になると、たまに、懐かしい記憶を思い出す時がある。
「みーっ」
小さな声でどれだけ必死に呼んでも、はぐれた母親と兄弟たちは来ない。
どれほど離れてしまったのだろう。
鳴いても鳴いても、雨音しか返ってこない。
その日からオレは、独りで生きていかなければならなかった。
「みー…」
*****
姫川が3日ほど来なくなった。
「おふくろー、親父は?」
はじめもたつやも心配している。
「…さぁな…。あいつは飼い猫だから、飼い主につかまってんじゃねーか? それとも…、雨だからか…」
ここ3日ほど続いているので、オレとはじめとたつやは、寝床である廃バスの窓から、しとしとと雨を降らせている灰色の空を見上げた。
オレの恋人である姫川は、不自由のない金持ちの家の飼い猫だ。
最初は野良猫たちと混じるのは気が乗らなかったはずのあいつも、今ではオレと子猫達に会いに家を抜け出してきてくれるし、朝までオレといることもある。
ほぼ毎日来てくれるあいつが、3日も来ないなんて。
最後に会った日を思い出してみるが、至って普通だった。
来れない時は事前に連絡をくれたのに。
「……ちょっと様子見てくる」
雨脚も弱くなってきたので、シートから降りたオレが出入口に向かうと、慌ててはじめとたつやもシートから飛び降りてオレのあとについてくる。
「オレも行くっ!」
「オレもーっ」
「……ついてくるのはいいが、はぐれるなよ?」
2匹は、了解っ、と手を額に当てて敬礼してみせる。
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