リクエスト:天使はちっちゃくても天使です。
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そして運命の午後16時頃。
神崎は2歳、古市は0歳になった。
「あぶ」
「ダブダ」
「おいおいおい!! いよいよ笑えねえ年齢になっちまったぞ!!」
生まれたて状態の古市に男鹿はここにきてようやくパニックになった。
パニックは伝染していく。
「うーだー(こんな状況なのに眠くなってきたぞ)」
「飲み過ぎだ! クソッ、かわいい! かわいいけどマズイ!」
姫川は神崎を抱っこしたまま軽く焦っていた。
神崎のタイムリミットも残り1時間だ。
「ヒルダァァァ!! 早く―――っ!!」
「ばぶ~」
古市はその様子がおかしかったのか、自分の状況が理解できず笑っている。
「おまえのことだぞ古市っ」
「うるさいぞ騒ぐな男鹿っ。今ようやく神崎が寝たとこなんだっ」
「くー…」
「寝つきのいいやつめっ!」
残り30分で古市の運命が決定する。
停止か消滅か。
相方2人が誰よりも慌てているので、他の石矢魔生は若干冷静だ。
「ヒルダさん、まさか本当に夜までかかるんじゃ…」
希望のクレンジングはまだか。
誰もが思った時だ。
「すまん」
窓からヒルダが戻ってきた。
全員の動きが一斉に止まり、そちらに注目する。
「遅ぇぞ!!」
「クレンジングは…!?」
男鹿と姫川は古市と神崎を抱っこしたまま窓際に走り、ヒルダに詰め寄る。
「……………」
ヒルダは2人から目を逸らしたまま黙り込む。
「……おい?」
「……アランドロンが捕まらん」
その言葉に、血の気が引いたのを感じた。
「…え? …まさか、ずっと、オッサン探してたのか? 魔界には!?」
「行っておらん」
ヒルダにとって魔界に行く唯一の手段は次元転送悪魔であるアランドロンだけだ。
つまり、それが見つからなかったということは、スタートすらしていなかったことになる。
この半日中、連絡も通じなければ、思い当たる場所にもいなかった。
「おまえ今まで…!!」
「だから「すまん」と言っただろう!!」
「謝って済む問題か!! 大体、そんな危険物学校に持ち込んでくるから…!!」
「欲しいと言ったのは貴様だドブ男め!!」
「構わんと言ったのはどこのアホ侍女悪魔だ!!」
「やめなさいよ2人とも!!」
言い合う男鹿とヒルダに邦枝が間に入ろうとした。
その前に、
「ふぇ…っ、びぇええええ!」
古市が泣きわめき、2人の怒鳴り合いが止まる。
「古市…」
救ってやることはできないのか。
男鹿は歯を噛みしめ、古市を強く抱きしめた。
「あ、男鹿殿、貴之の顔が見えませんっ」
どこかで聞いたことのある声が聞こえ、一同は静まり返る。
「…今、どこから聞こえた?」
男鹿は辺りを見回し、その姿を探すがそれらしきものは見当たらない。
「…男鹿」
そこで気付いたのが姫川だ。
男鹿の肩を叩き、無言で人差し指を天井にさす。
見上げると、直径数センチの穴が空いているのが見え、掃除用具の入ったロッカーから手頃なホウキをつかんで戻り、「せいっ」とその穴にホウキの柄を突き入れた。
「ぎゃあっ!!」
そこから悲鳴が聞こえ、天井が抜けてアランドロンが落ちてきた。
「目がぁっ、目がぁぁぁぁっ」
両目を押さえるアランドロンの首にはデジカメがかけられている。
男鹿、姫川、ヒルダの3人はすぐに三角形にアランドロンを取り囲んだ。
アランドロンは正座したまま、蛇に睨まれたカエルのように動けない。
「…アランドロン、貴様、今までどこにいた」
「ああ、はい、上です。この上」
騒ぎがあってからずっと天井裏にいたそうだ。
「古市がこんな時になにしてた?」
「ええ。こんな時だからこそ写真を、と。カワイイお2人の写真をこれでもかと撮っておりました」
「んで、出てこなかったのは?」
「はい、どうせなら生まれたての状態まで引っ張ってからと思いまして…」
そこでアランドロンは口を噤む。
3人の背後に鬼を見たからだ。
押し潰されそうな威圧感に顔を上げることができず、滝のような冷や汗を流す。
「貴様…、今から魔界に行って間に合うとでも自負しておるのか…?」
ヒルダは日傘からサーベルを抜き、姫川はスタンバトンを腰から取り出し、男鹿はコブシのゼブルスペルを光らせた。
そこでアランドロンは3人を安心させようとあるものを取り出す。
「あ、私も持ってますので、クレンジング。化粧水ともども愛用しております」
ブチッ。
それがトドメとなった。
「「「早く出せ!!!」」」
ドガァッ!!!
「あ~~~れ~~~~」
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