リクエスト:天使はちっちゃくても天使です。
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午後13時頃。
8歳の神崎と6歳の古市。
また2歳若返り、神崎は自分の中に再び芽生えた子ども心に負け、城山に肩車してもらっていた。
おさげをハンドル代わりにつかんで城山を動かす。
「行け!! シロヤマ208号!!」
「ウッス!!」
神崎の掛け声とともに教室内を走り回った。
「城ちゃん、幸せそう…」
「よかったなー」
神崎に肩車を断られた姫川はむくれていた。
体格と身長がある方がかっこいいと男の子は喜ぶのだ。
「いいなぁ」
古市は指を咥えながら羨ましそうに城山を見ていた。
「オレがいるだろ?」
「嫌だ。おがちっちゃい」
見向きもせずに一蹴され、ガンッ、とショックを受けてしまう。
ベル坊はなだめるように男鹿の頭にのって撫でた。
「ちっちゃくねえし……」
「ダウ(オレがいるじゃねえか的な)」
「せんぱーい、次はオレもー」
「誰がやるかバーカ。こいつはオレの専用機だっ」
ベッ、と舌を出す神崎はガキ大将丸出しだ。
誰もが、この頃からやんちゃだったのか、と思う。
「ふえ…っ」
独り占めされ、傷つきやすくなった古市は涙を浮かべて男鹿の右足に縋り付く。
その光景に女子達は胸をキュンとさせた。
「おがぁ、せんぱいがぁ、せんぱいがぁー」
ぐずりだした古市に男鹿は、
「ゴフッ」
色々耐え切れなくなって吐血した。
「男鹿ぁ!!」
邦枝の心配は無用だ。
手の甲で血を拭いて姫川を睨み、凄む。
「おたくの息子さん、どーゆー教育なさってんの? ウチの子泣かすなんて…」
「はあ? アレは元々ウチの乗り物ですけど? 少し過保護じゃなくって? 逆にお子さんの未来が心配ですこと」
サングラスを小指で押し上げた姫川は、上等だと言わんばかりに睨み返す。
「保護者同士の修羅場はやめなさいよっ」
「というか、城ちゃんを乗り物扱いしないであげて」
火花を散らす2人に邦枝と夏目がつっこむ。
モンスターペアレントならば確実に敵に回したくない親の類に入るだろう。
午後14時頃。
「キャ―――ッ!!!」
花澤が叫ぶのも無理はない。
目の前には、さらに小さくなった6歳の神崎と4歳の古市がいるのだから。
男鹿達は言葉も失うくらい萌えている。
「パネェ!! この可愛さッッパネェェェェッ!!」
「落ち着けよパー子」
「この生意気面マジ神崎先輩パネェ!! 古市のクセになんスかこのパネェ!! もうずっとこのままでいてほしいっス―――!!!」
机に乗った2人を抱きしめ、頬を摺り寄せる。
「熱っ!! スリスリしすぎて熱っ!!」
「ああでも至福…。……おが、なんでそこに突っ立ったままなんだ?」
むしろ距離を取る男鹿に疑問を抱く。
「……触ったら…、壊れちまうかもしれねーだろ?」
「てめーの背負ってる赤ん坊はなんだ。オレだってそこまでデリケートにできてねえからこっち来い」
真剣に心配している男鹿に古市は手招きする。
「ついに幼稚園児か…。うわ、さっきより軽っ」
「さらに縮んだんだから当たり前だろーが」
姫川に脇腹を持たれた神崎は呆れ顔を見せた。
「…ちょっと右手開いてみろ」
「ん?」
右手の平を開くと、姫川はその手を自分の手と合わせた。
「ちっさ!!!」
「うっとうしい!!!」
ベチッ、と叩かれるがやはり威力はない。
「まあまあ、ヨーグルッチやるから許せよ」
「ヨーグルッチ…」
新たなヨーグルッチを見せつけると、神崎の目がぱっと輝いた。
早速両手を伸ばす神崎だが、それに合わせて姫川は手の届かない位置に上げる。
「ほぉーら」
「むぅ」
左へ右へと持っていくと、届かないのに神崎は手を伸ばしたままそれを追う。
「てめ、あそんでじゃねーよひめかわっ」
「ひらがなまみれでカワイイな。ほらほら、追いかけねえとヨーグルッチが逃げちゃうぜ?」
神崎はジャンプして取ろうとするが、さらに上にあげられてしまう。
大人げない光景だ。
「はははは」
子猫相手に猫じゃらしで遊んでいるような気分だ。
「姫ちゃん、そろそろ…」
そこで夏目が肩を叩いてストップをかける。
「あ?」
「…っ…んぐぅ…っ。オレの…、オレの…ヨーグルッチィ…っ」
神崎は唇を噛みしめ、両手を伸ばしたまま涙目で訴えた。
「ゴフッ」
こちらもついに吐血した。
ついでにサングラスも割れる。
「わかるだろ!? わかるだろ!? 破壊力が!!」
男鹿は、花澤からもらったキャンディーを食べる古市を両腕に抱えながら興奮気味に同意を求めた。
ヨーグルッチを渡された神崎は、姫川の両腕に抱えられながら満面の笑みで飲む。
「この…っ、なんだ…、手が小さいから仕方なく両手で飲むところとか…っ」
「うちの子も見てみろよ。ちっちゃい口で嬉しそうにアメ舐めてるこの姿を」
見ている石矢魔生もほっこり癒され、花澤と谷村ははしゃぎながらケータイのカメラを連写させていた。
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