リクエスト:家族の時間。
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(どういう状況なんだコレ)
姫川は困惑していた。
ショッピングモールから出たあと、二葉が「帰りたくない」とごねだしたのだ。
神崎が「何言ってんだ」とたしなめると、二葉は姫川の後ろに回り込んで神崎を睨んだまま唸りだす。
「わがまま言ってんじゃねーぞ二葉!」
「イヤだ―――っ!!」
神崎は二葉を捕まえようと手を伸ばすが、二葉は軽い身のこなしでそれを避け、2人は姫川の周りをぐるぐるとまわりながら追いかけっこを始めた。
しまいに二葉は姫川の体をよじ登り、両手の人差し指を自分の口端にひっかけ、「べ―――っ」と舌を出す。
「姫川そのガキ押さえてろっ。ねじ伏せても構わねえ…っ!!」
そろそろマジになってきた神崎の目つきに姫川は二葉を肩に載せたままなだめようとする。
「神崎やりすぎ」
「姫川の家に泊まるっ! 一もそうしろ!!」
神崎が「はぁ?」と困惑の表情を浮かべた時、姫川はケータイを取り出して蓮井にかける。
「蓮井、3人分の夕食作ってくれ」
「ノるんじゃねえっ!!」
しかし、結局神崎が折れ、自宅に電話をかけて確認したところ、許可が下りた。
最初は渋っていた武玄だったが、二葉が直接電話で「泊まらせないと嫌いになるからなっ」と言えば、あとは簡単だった。
なかなかの小悪魔だ。
―――というわけで、親の許可も下りたことで姫川の家に泊まることになった、二葉と神崎。
夕食は、二葉の分だけお子様ランチだった。
オムライス、スパゲティ、ハンバーグなど、子どもが喜ぶものばかりがプレートに載せられていた。
二葉も夢中になってお子様用のスプーンで口に運んでいく。
「二葉、口」
ケチャップで汚れた二葉の口を、隣に座る神崎はナプキンで拭ってあげる。
「……神崎」
姫川はハンバーグのソースで汚れた自分の口端を指さす。
「自分でやれ!!」
神崎はナプキンを向かい側に座っているその顔面に投げつけた。
それを見てケラケラと笑う二葉。
しかし、姫川の目には、どこか寂しげに見えた。
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