リクエスト:こっち向いて、リーゼント。
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いつから姫川を意識するようになったのか。
きっかけはなんだったのか。
思い出せないくらい片思いが続いてるわけで。
自覚したの本当に最近だし。
自覚したきっかけは、夏目に相談に乗ってもらったことだろうか。
「それって恋じゃないのー?」。
ほとんど冗談で言ったつもりだろうが、オレは本気に受け止めてしまった。
事実、あいつことばかり見るようになったり、あれだけ気さくに話しかけられてたのに急に距離を置くようになったり、あいつがメールしてる時って誰とメールしてんのか気になってイライラしたり。
今もこうして席に座って、ケータイをいじっているあいつの背中を見つめている。特にうなじばっか見てる。
(こっち向けー…)
念というか、視線を送ってみる。
→→→→→
「?」
「!!」
視線が刺さったのか、姫川が本当にこっちに振り返ったのですぐにさっと目を逸らした。
逸らし方が不自然だっただろうか。
どちらにしろ、視線を戻せないから姫川がどんな顔してるのか見ることができない。
3分はそのままだった。
そろそろいいだろう、と戻すと姫川はまだこちらをじっと見ていた。
机に伏せるオレ。
(まだ見てる―――っ)
寝たフリを決め込むことにした。
前は視線が合っただけで「なんだよ、見てんじゃねえよ」とか返すことができたのに。
このままだと距離が遠のくばかりだ。
頭ではわかっている。
「好きだ」と告白を実行しようともした。
けれど、呪われてるんじゃないかってくらいうまくいかない。
告白作戦、実行回数は34回。
「好きだ」の「す」の字も伝えられなかった。
理由が、緊張や恐怖ではぐらかしてしまうことだ。
初めての告白。
相手は男で姫川。
オレだって怖気づくっての。
ケータイで伝えようと思いついたのはいいが、連絡先は知らん。
手紙を書こうとしたが、全部出せず終いで恥ずかしさのあまり破棄。
やっぱりオレの柄だと直接言った方が合ってる気がする。
昼休みになり、オレは姫川を校舎裏に呼びつけた。
昨日は男鹿達がいたから告白どころじゃなかった。
ここなら誰も来ないはずだ。
35回目、いきます。
「こんなところまでなんの用だ? また昨日みたいにいきなりケンカ売る気か?」
そう、昨日はケンカになった。
2度も言うが、男鹿達がいたせいだ。
誤魔化しが過ぎて殴ってしまい、ケンカに発展させてしまった。
「そうじゃねえよ…。大事な話だ…」
「昨日も、一昨日も聞いた」
姫川は校舎の壁に背をもたせかけ、うんざりするように言った。
うん、オレも何度か口にしてる。
全部失敗だ。
一昨日はグランドの隅っこだったのに、城山が話しかけてくるから有耶無耶になっちまったんだっけ。
続けるわけにはいかない。
オレ、姫川に嫌われたくない。
「…す…」
「…「す」?」
たった3文字。
夢のことを思い出してしまい、そこから先が言えない。
こんなに重い言葉だったっけ。
「ヨーグルッチが好きだ」とは違う。
「す…っ!!」
その時、茂みから次々と人が現れた。
「見ろ。男鹿を待ち伏せてたら東邦神姫の2人だぞ」
「ラッキー。一掃してやろーぜー」
ハゲ頭と緑の制服からして帝毛の奴らだ。
10人ほど隠れていたようだ。
確認しとくんだった。
「神崎、素直にそう言えよ」
「え」
「助っ人がほしいって」
姫川はスタンバトンを取り出してすっかりやる気モードだ。
「違…」
口が半開きのオレは姫川に手を伸ばしかけ、ふるふると首を横に振った。
「違うんだ」とはっきり言いたかったのに、痺れを切らした帝毛の奴らが一斉に襲いかかって来た。
オレはコブシを握りしめ、邪魔された怒りのままに叩きこんでやった。
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