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鬼ごっこが終わったあと、神崎は姫川をおぶって保健室へと向かった。
背負われている姫川は恥ずかしそうに神崎の背中に顔を埋める。
通過する聖石矢魔女子は「なにあのコ、かわいいー」と微笑ましい視線を送った。
「恥ずかしい…」
「そこは堂々としてろよ」
保健室の前に到着し、扉を開ける。
保健医は不在なのか、中には誰もいなかった。
神崎は姫川をパイプ椅子に座らせ、勝手に小棚から消毒液とコットン、ガーゼを取り出し、姫川の前に片膝をついた。
「ちょっと沁みるぞ」
消毒液を染み込ませたコットンを姫川の膝に当てると、姫川は「うっ」と両目を強くつぶった。
神崎は視線を上げてその様子を見ながら、傷の上にガーゼを貼りつける。
「しまいだ」
「うー…、痛い…」
わずかに涙目になりながら、姫川はガーゼの上を撫でる。
神崎は「あんまり触んな」とその手をつかんだ。
「!」
いつもは自分の手を捕まえる側の手の小ささに、今更ながら驚いてしまう。
元の姿の時は自分の方が小さいのに。
「……………」
「一?」
「あ…、いや…」
その手をじっと見つめてしまっていた。
神崎はそっと手を放し、「なんでもねえよ」と笑いかける。
「……一…」
「!」
真剣な顔になったかと思えば、姫川は突然倒れ込むように神崎の首に絡みついてきた。
神崎はその場に尻餅をつく。
「姫…川…?」
容姿は幼児といえど、姫川だ。
不意に神崎の鼓動が高鳴った。
「眠い…」
「は?」
拍子抜けの一言だった。
「…寝るか?」
「ふぁ…」
答える代わりに欠伸を返された。
顔を見ると、頬は赤らみ、薄目だ。
神崎はそんな姫川を抱っこし、保健室に設置されてあるベッドへと移動し、姫川をそこに寝かせた。
「一」
「んー?」
ベッドの周りのカーテンをしめていたとき、姫川が声をかけた。
「一緒に寝てくれる?」
「!!」
思わずカーテンを千切りそうになった。
「てめーはガ…」
ガキだった。
「だめ?」
子犬のような目。
「うっ」と東条の気持ちを知ってしまう。
小さくため息をついた神崎は上履きを脱ぎ、姫川のすぐ隣で横に寝転ぶ。
(あ、保健医戻ってきたらどう言い訳しよ…)
そんなことを考えている間に、姫川は嬉しげに神崎の左腕を枕にし、すりすりと頬を擦りつけられる。
「……大抵の奴は金さえもらえなきゃオレのこと嫌がるのに…、一は、損してるとか思わないのか…?」
「ガキが暗ぇこと考えてんじゃねーよ…」
神崎は空いてる右手でその頭を撫でる。
「普段からもてめーに苦労させられてるけどよ。…損してるなんて思ったことねーよ。一度もな」
それを聞いて安心したのか、姫川は目を閉じ、寝息を立てる。
「……ふぁ…」
それを眺めていた神崎から、大きな欠伸が出た。
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