これは何の病ですか?
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「姫川さん…、食欲不振って…」
「実際あんまり食欲ねーんだよ。診ろよ」
医師は「とりあえず薬あげますから」と仕方なさそうに言った。
渡された薬。
早速飲んでみたが、ただのビタミン剤かもしれない。
今日も神崎はいない。
なぜ子ども達の相手をするのか、聞いてみたが「ヒマだから」と答えられた。
オレといるのがそんなに退屈なのかと考えたら、ちょっとムカついた。
快適なはずの一時の一人部屋が、妙に虚しい。
おかしな話だ。
スマホで神崎の写真を見る。
からかうネタにもならないこの写真、いつまで持っていようか。
一度ベッドから身を起こしかけて思い出す。
病室から出て行く前に、神崎に言われた。
「おまえもう来んな!」
少し考える。
別に言う通りにしてやる義理はない。
そうだ、子どもと戯れているところを動画に撮って石矢魔に流出してやろう。
離れて行く奴らもいるかもな。
あいつは一人じゃなにもできない。
取り巻き共がいて、『東邦神姫・神崎一』として成り立っているんだ。
オレとは違う。
どうしようもなくなったあいつが泣きついてくるを想像しただけで楽しい…と思いたい。
「…行くか」
変にモヤモヤしてきたし。
中庭に近づき、今度は見つからないように気を付けながら窺った。
中庭は相変わらず騒がしい、と思いきや、ちょっと様子がおかしい。
悲鳴のような声が混じってる。
ついに何かやらかしたかと思って見ると、子ども達が1本の木の周りに集まっていた。
全員、心配そうに見上げている。
集中している視線を追ってみると、木の枝に何か見えた。
恐怖で震える女の子と、よじ登って手を伸ばす神崎だ。
一目で今の現状が把握できた。
あの女の子、最初にオレを見つけた奴だな。
なぜのぼったのか。
泣きそうな顔で枝にしがみついてる。
「ほら、手ぇ伸ばせっ」
神崎は太い幹につかまりながら右手を伸ばす。
それでも片手でも放したくないのか、女の子はぎゅっと目を瞑り、首を横に振った。
「絶対つかんでやるからっ」
「ぅう…っ」
励ます神崎はゆっくりと女の子と距離を縮めようとする。
ミシ…、と枝に亀裂が入るのを見た。
あ、落ちるな。
「「!!」」
数秒後、重みに耐えきれなくなった枝が折れた。
神崎は幹から手を放し、女の子の体を抱え、庇うように背から落ちていく。
子ども達からは一斉に悲鳴が上がった。
「―――姫川!! おい!!」
―――あれ?
鈍い痛みが全身に広がる。
気が付いたら、神崎はオレの顔を覗きこんで必死に名前を呼んでいた。
オレは疑問に思った。
どうしてこのオレが神崎を助けてるんだ。
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