独占的な白雪姫。
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あたしの名前は神崎一。
性別は一応、女。
文句あっか。
石矢魔東邦神姫のひとりで、家は極道。
それに恐れをなして逃げていく男どもは星の数。
なので、側近以外の男が傍にいなかったけど、最近、彼氏ができました。
名前は、姫川竜也。
同じく東邦神姫のひとり。
「……何よ」
「あー…」
ここは空き教室。
姫川が大事な話があるからって呼びだしたくせに、その姫川は今、あたしのスカートの端をつかんで絶望的な表情を浮かべていた。
あたしはうんざりした顔でそれを見つめる。
姫川は何度もスカートの端を上げては「あー」だの「うー」だの唸った。
正直うっとうしい。
何か言いたげだ。
「短パン……」
ようやく発した言葉がそれか。
姫川が昨日、「パンツ見えるのどうにかならないか」って言ってきたからあたしなりに考えてスカートの下に短パンを履いてきたってのに、その言いぐさは何事だ。
パンツ見えるのは回避されるだろうが。
こいつは何が気に入らないんだ。
「文句あんのかコラ」
「いや…、確かにどうにかならねえかって言ったのはオレだが…」
「さらに言いたいことあんなら言ってみろよ」
「……踵落としする際に足を上げなきゃいい話で…」
「あたしの十八番取り上げるつもりか!? 踵落としは脚上げなきゃできねーだろがっ!」
女のあたしでも一撃で大の男を倒すことができるのが、踵落とし。
これと家柄だけで不良の巣窟である石矢魔の東邦神姫にのし上がってきたのだから大したもんだ。
「神崎」
姫川はあたしの両肩をつかみ、真剣な眼差しで見つめてくる。
途端に心臓が跳ね、自然と顔が熱くなった。
「な…、なに…?」
「オレにパンツを見せるのはいい。大歓迎だ。けどな、他の奴には見せたくねえんだよ。おまえのパンツは、オレだけのパ」
バキッ…
ゴッ!!!
聞くに堪えずアゴを殴りつけて距離を離したあと、そのリーゼント頭に踵落としを食らわせてやった。
床に沈む姫川。
「クソゥ…、食らい損…」
「黙れカス!! 元から得なんざさせてねーよ!!」
こっちだって、ときめき損だよ。
こんなカスで外道でもあたしの彼氏だ。
この出来事だって、あたしと姫川にとっては些細な日常の一部。
なのに、
「!」
姫川のスマホからメール受信音が聴こえた。
姫川は立ち上がる前にそれを開いて目を細める。
「…?」
詮索すると面倒な女とか思われそうだったから、あえて聞かなかった。
けど、その日を境に、姫川の様子はおかしくなってしまったんだ。
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