神と仏、どちらに縋りますか?
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神崎が請け負っていた依頼を解決させた頃、別の依頼を受け、ものの数分で解決させた神父―――姫川竜也は、廃墟と化した教会のベンチに座り、男鹿と同じく受付・仲介役の古市貴之から依頼書を受け取った。
姫川の恰好も、身に纏った漆黒のローブ以外、どう見ても神父には見えない。
頭は銀髪のリーゼント、目には色眼鏡、ローブの下にはアロハシャツを着ていた。
「“竹”…ねえ」
姫川は不服げに開封した依頼書の端をつまみ、上に掲げて見上げていた。
「“竹”が来てもな…。テンションが上がるわけでもねえ…」
姫川にとって、“竹”はいつも請け負うランクだ。
“竹”のさらに上である“松”は、今までで数回請け負った経験もある。
できれば“松”の依頼がよかったと言わんばかりの態度だ。
「そう言わずに…」
古市は困ったように微笑んで請け負ってもらうよう頼む。
「ん―――…、依頼者は?」
「久々津修太郎。30歳。大手不動産会社の社員です。数年前から、ある人形に妻共々悩まされていて…」
「えーと? どれだけ捨てても、引っ越しても、ついてくる人形…」
姫川は依頼人からメールで送りつけられた相談内容を読み上げて確認する。
「昔、都市伝説にあったな。メリーさんからの電話。…悩みってのは、ついてくるだけか?」
「夫妻にとっては嫌がらせ程度…。しかし、その依頼書には書いてませんが、問題は、人形をどうにかしようとした周りの人間や、雇われた霊媒師たちが次々と重傷を負わされてしまって…。しかも、けっこうな数がやられてます」
「…! まさか、“竹”とか抜かしてこの依頼…」
「“松”の一歩手前です。これ以上一般の霊媒師に任せれば、いずれは…」
“梅”は、怪奇によっていたずら程度の出来事が起こった場合、一般の霊媒師でも解決できる場合。
“竹”は、怪奇によって目立った負傷者が出た場合、一般の霊媒師では手に負えない場合。
“松”は怪奇によって死人が出た場合、一般の霊媒師では手に負えない場合。
つまり、怪奇の危険度がランクになっていた。
危険度が高いほど、手強い怪奇ということになる。
松竹梅の境目を決めたのは男鹿だ。
それに請け負う金額を追加したのは姫川である。
ベンチから立ち上がった姫川の口元には、聖職者には似つかわしくない笑みが浮かんでいた。
「さて…、鬼が出るか蛇が出るか…」
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